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[オピニオン]ネガティブ選挙運動

Posted December. 04, 2012 08:41,   

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1964年、米民主党大統領候補のリンドン・ジョンソンは、共和党候補のバリー・ゴールドウォーターがベトナム戦に核兵器を使う可能性があると攻撃した。「デイジー・ガール(Daisy Girl)」という悪名高いネガティブ選挙広告が作られた。野原で花びらを数える少女が9まで数えた時、一人の男の声がミサイル発射のカウントダウンを始める。空を飛ぶ物体が少女の目に映り、少女の顔が画面にアップになると、突然真っ暗になり、キノコ雲が立ち上がる。この広告は誇張しすぎだと批判され、一度だけ放送されて終わったが、ジョンソンの勝利に役立った。

◆1963年、朴正熙(パク・チョンヒ)が軍服を脱ぎ、大統領候補になった時、野党候補の尹潽善(ユン・ボソン)氏は大物スパイのファン・テソンとの関係を取り上げ、朴正熙の思想を問題視した。朴正熙の兄で左翼の朴相熙(パク・サンヒ)が1946年に大邱(テグ)で暴動に加わって死亡した。一方、朴相熙と同志だった北朝鮮貿易省副相のファン・テソンが、金日成(キム・イルソン)が引き止めたにもかかわらず、朴正熙に接触して捕まった。朴正熙が5・16クーデター後、政権初期から左翼疑惑を払拭しようと努力したため、尹潽善のネガティブ戦略はあまり受け入れられなかった。

◆ネガティブ選挙運動が再び熱を帯びている。野党民主党が、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領候補の父方と母方の5親等までの財産が1兆3000億ウォン、正修奨学会と嶺南(ヨンナム)学院の財産まで合わせて4兆ウォンだと主張した。朴候補の申告財産は21億ウォンだ。財産は兄弟間でもよく分からないものだが、4親等でもなく5親等まで合わせる算法は荒唐無稽だ。真偽の有無と関係なく、ライバル候補の粗探しをしようとする意図が感じられる。さらに進めば、中傷宣伝に発展する可能性がある。

◆昨年のソウル市長補欠選挙の時、朴元淳(パク・ウォンスン)候補を支持する側は、羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)候補が1億ウォン台の美容エステを受けたかのようにデマを流し、利益を得た。一旦デマが流されたら、たとえ事実でなくても「事実でないこと」を立証することは容易でない。いくら違うと説明しても単純に信じてしまう人々がいて、「誇張はあっても火のないところに煙は立たない」といった具合に、半信半疑の国民も少なくない。ライバル候補の欠点を強調するだけでは足りず、ありもしないことを作り出すことは、国民に対する詐欺だ。自分の長所を強調する選挙運動が政治改革の第一歩だ。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委 pisong@donga.com