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若者4人のベンチャーが創業2年目で輸出実現、太陽光ゴミ箱のイーキューブラブ

若者4人のベンチャーが創業2年目で輸出実現、太陽光ゴミ箱のイーキューブラブ

Posted September. 29, 2012 07:30,   

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「なんだ。振込み詐欺か」

5月初頭のある日の未明、目を擦りながら携帯電話に出たイーキューブラブのクォン・スンボム代表(24=延世大学電気工学部3年生休学)は変なイントネーションの声を耳にし、中国から掛かってきた振込み詐欺電話だと思って、電話を切った。ところが同じ番号で再び電話が掛かってきた。

「アユーメーキングソーラービン」(Are You Making Solar Bin=なたが太陽光ゴミ箱を作ったんですか?)

よく聞いてみたら、中東式英語発音だった。サウジアラビアのバイヤーだが、太陽光ゴミ箱を購入したいという。クォン代表は、「当時は試作品すらおらず、戸惑ったが、国内オンラインメディアが、我々の公募展での優勝ニュースを英語に翻訳してネットに掲載したことを機に、海外のバイヤーらから問い合わせが殺到してきた」と主張した。

同社は最近、太陽光ゴミ箱12個を、1個当たり300万ウォンでサウジアラビアの会社に販売し、計3600万ウォンの売上を上げた。ベンチャー設立後初の売上を輸出で上げたことになる。

●新村のゴミ箱から得たアイデア

昨年3月、イーキューブラブを立ち上げた創業者4人は09年、社会的企業に対し経営をアドバイスするボランティア団体・ソーシャルコンサルティンググループで、インターンとして働いていた時に出会った。普段から起業を夢見ていた彼らは、「太陽光ゴミ箱を作ってみよう」というクォン代表からの提案を受け、意気投合した。

ソウル新村(シンチョン)で自炊をしていたクォン代表は毎朝、自宅周辺の歓楽街のゴミ箱から溢れんばかりとなっているごみを目にし、ふとアイデアが浮かんできた。氏は、「自宅ではごみが溢れれば、手や足で抑えて圧縮するが、街頭でのゴミ箱は何か手がないか」と考えた。自動的に圧縮させる機能付きのゴミ箱に、太陽光で電力を供給するやり方を考え付いた。情報技術(IT)を利用し、ごみが溢れる時、担当区役所に通報すれば、清掃車が必要な時だけ収集にかけつけ、人手やコストを削減することができるだろうと思った。

しかし、アイデアを現実化するのは容易ではなかった。クォン代表は、「手書きで大雑把に描いた設計図を手にし、鋻溪川(チョンゲチョン)周辺の金物屋を歩き回りながら「この通りに作ってほしい」と頼んだが、ほとんど、あきれた顔を見せた」と語った。

●鋻溪川を経て南楊州まで

創業者4人は、50万ウォンずつを出資し、古びたオフィスを構えた後、各工場をあさった。京畿九里市(キョンギ・グリシ)と南楊州市(ナムヤンジュシ)、ソウル衿川区九老洞(クムチョング・グロドン)周辺の金物加工工場を歩き回りながら、エンジニアたちに会って、聞きながら学んだ。創業メンバーのクォン・ヒョンソク生産部門チーム長(25=延世大学経営学部4年休学)は、「現場で学びながら基本設計図面を作るのに1年掛かった」と話した。

太陽光モジュールを探し求めてつなげるのはさらに難しかった。全国のいたるところで開かれる新再生エネルギー博覧会には、漏らすことなく足を運んだ。グローバル市場で太陽光事業を行っているOCIやハンファグループの職員たちに対し、太陽光モジュールを買いたいと頼んだ。クォンチーム長は、「振り返ってみれば当時、国内太陽光企業各社が販売する製品がどんなものかすら知らなかった」とし、「企業では作っていない30ワット向け小型太陽光モジュールがほしいと声をかけたので、たぶん戸惑ったはずだ」と笑った。。

両親たちの反対もネックとなった。イ・スンジェ生産チーム長(25=ソウル大学・化工生物工学部4年休学)を始め、創業メンバーは軒並み、名門大学出身であり、両親らは公務員試験に挑戦したり、大手企業に入り、より安定的な生活を営むことを希望した。クォンチーム長は、「起業すると父親に話したところ、『お前の人生の最後の非行だと思う』といわれ、心が重かった」と、当時を振り返った。しかし、クォンチーム長の父親は今月初頭、息子が作った製品29個が、ソウル大学や延世大学、高麗(コリョ)大学のキャンパスに設置されると、息子には内緒に、太陽光ゴミ箱を見て回った。特に、太陽光事業を行っているハンファケミカルが、彼らの可能性を高く評価し、1億ウォンを条件無しに支援したという話を聞き、他の創業者らの両親も、「一度やってみなさい」という空気に変わった。

●「叩いたところ開かれた」

右往左往していた彼らに、公募展や政府によるベンチャー支援事業は、「一筋の光」だった。起業メンバーのイ・ソング・マーケティングチーム長(27=高麗大学経営学科卒業)は、「公募展に出たのは、賞金をもらって投資するためだったが、我々の事業モデルを客観的に評価し、弱点を補完するのに大きな勉強となった」と主張した。

彼らは昨年4月、中小企業庁が主管した「予備技術創業者育成事業」に応募し、試作品の制作費として5200万ウォンの支援を受けるなど、様々な創業共進大会や政府支援事業に参加し、計2億2600万ウォンの投資金を確保した。

イーキューブラブは現在、オーストラリアや中東のように、太陽光が強く、太陽光電気の生産が容易な上、土地が広く、人件費の高い地域を中心に輸出の準備をしている。同社に投資したベンチャーキャピタル・クーリッジコーナーインベストメントのクォン・ヒョクテ社長は、「太陽光ゴミ箱は、米一部の地域で毎年100%ずつ需要が伸びているなど、市場性はすでに検証済みだ」とし、「イーキューブラブの製品は、製造業にIT技術を融合させた独特な形で、海外でも成功する可能性が高い」と評した。

クォン代表は、自信溢れる表情で話した。「若者たちがひたすら、大手企業への入社や公務員になるのが目標だと口にしているのを見れば、残念でなりません。本当にやりたいのか、それとも周辺の眼差しのせいか…。我々は何ら経験も無かったが、本当にやりたかったことをやっているうちに、ここまできました。『叩けば開かれる』という言葉が実感できます」。



mint4a@donga.com