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[オピニオン]暴力団の債鬼

Posted April. 19, 2012 08:23,   

銀行業はそもそも、貴金属商が金貨を保管してくれたことから始まった。富裕な商人が貴金属商に金貨を預ければ、貴金属商は、「銀行券(紙幣の旧名)」という保管証を出し、保管料を受け取った。金を貸して利息を受け取り利益を手にするのは本来、銀行ではなく「高利貸し」の仕事だった。高利貸しは、聖書で禁じており、キリスト教圏やイスラム圏では軽蔑を受けてきた。シェークスピアは、「ベニスの商人」で、ユダヤ人の高利貸し、シャイロックをあくどい人間に仕立てた。ダンテは「神曲」で、高利貸しのための地獄を、別途に設けている。

◆最近、金融は「良質の雇用」を提供する高付加価値サービス産業であり、若者らが好む職場でもある。金融業の種類も、伝統的な銀行や証券、保険業のみならず、信託や与信専門のベンチャーキャピタル、格付け、信用保証、資金仲介業などへと細分化している。現代金融業の役割は、「余裕資金の仲介」に止まらない。資金仲介の結果、社会の利用できる資源を最も有効な部門から先に割り振ることで、全体的な経済効率を高める機能を果たしている。すなわち、生産性の落ちる産業や企業に対しては、「高い調達金利や低い株価」で罰し、淘汰させ、経済生態系の健全性を維持する役割を果たしている。

◆現代の金融が目覚しい進化・発展を遂げていく中、影では、債務者を締め付ける高利債が依然、蔓延っている。知的障害者の夫婦に350万をウォンを貸し、資金を返済することができなくなると、妊娠5ヵ月の妻に中絶を強要し、カラオケで無理強い働かせた人たちが摘発された。年3000%以上の高金利を強要した事例も報道されている。これなら、債鬼より悪徳な組織暴力団まがいの高利貸しだ。

◆一部では、自由取引の原則を主張し、高金利を制限するのに反対している。しかし、相手の切羽詰った状況を悪用した「債務奴隷」は、市場の失敗から始まった事例だ。政府は高利債に積極的に口出しし、直ちに正さなければならない。もちろん、高利債を不法化し、暴力団まがいの貸金業を取り締まるからといって、直ちに問題が解決されるわけではない。ややすれば、闇金融がさらに悪化し、より大きな副作用を招きかねない。金融疎外階層に対し、合法的な金融機会を十分に開けておき、知らせなければならない。また、貸金業者による暴行や脅迫は違法であり、年39%以上の高利債の利息は返済する必要の無いことを、周知させる必要がある。

虚承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com