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被害復旧費は少なくとも23兆円、国は最悪の財政状況…

被害復旧費は少なくとも23兆円、国は最悪の財政状況…

Posted March. 09, 2012 06:58,   

「交通事故に会った30歳の若者が、10年ぶりに回復した。ところが、30年掛かっても回復できるかどうか分からない深刻な交通事故に再び会ってしまった。今は、年まで取り、回復は大変難しくなるだろう」

日本政府傘下のシンクタンク・JETRO−アジア経済研究所の水野順子新領域研究センター長は、東日本大震災から1年を迎えた日本の現状について、このように診断した。1995年、阪神淡路大震災に見舞われた日本は、回復に10年が掛かったが、これより被害規模が数倍も大きい東日本大震災は、30年が掛かっても回復は容易ではないだろうと言う意味だ。水野センター長は、「1995年は日本経済に活力があったが、今は、20年間の長期不況を経験している。これも大きな違いだ」と主張した。

「日本は、東日本大震災の後遺症から立ち直ることができるだろうか」。7日、大震災から1年を迎えて、東京プレスセンターで行われた首相官邸主催の政府合同外国メディアの記者会見の会場では、日本の未来を問う特派員らの質問が殺到した。特派員たちの質問には、「未曾有の津波に原発事故まで重なっている今回の事態は、決して容易なものではないだろう」と言う考えがその背景にある。

実際、日本を苦しませている懸案は山積している。日本は、地震や津波によって計1万900人余りが死亡したり、行方不明となっており、17兆円に上るインフラ(SOC)や産業施設が被害を受けた。日本政府は今後10年間、被害復旧の費用として少なくとも23兆円を見積もっている。問題は復旧財源を賄うためには、国債に頼らざるを得ないと言うこと。日本の国家負債はすでに、国内総生産(GDP)の2倍を超え、先進諸国の中では最悪のレベルだ。

横浜私立大学のクク・ジュンホ教授(財政学)は、「毎年、20兆円ずつの国債発行額が純粋に増加している日本としては、復旧資金をまかなうためには、国の財政はさらに悪化するだろう」と見込んだ。「まだ、貯蓄などの民間金融資産(1300兆円)が国の借金(1000兆円)より多く、持ちこたえているものの、大震災を受け、危機のテンポは一段と早まりかねない」という。

エネルギー問題も日本が解決しなければならない難問となっている。電力生産で原発が占める割合が30%に上る日本は、来月には54基の原発稼動が全て中止となる。必要な電力を賄うためには、コストがさらにかかる火力発電に頼らざるを得ない。

そんな中、首都圏に電力を供給している東京電力は、来月から、工場向け電気料金を平均17%引き上げることを決めた。KAISTの張舜興(チャン・スンフン)教授(陽子光学)は、「製造業が次第に情報技術(IT)化している中、電気料金は価格競争力と直結している」とし、「原発稼動が全て中止となれば、日本の製造業は深刻な打撃を受けるだろう」と見込んだ。

しかし、日本が経験しているエネルギー問題は、新しい成長エンジンを探すチャンスなるだろうという楽観論も少なくない。世界的なレベルの省エネ技術が、1970年代の2度のオイルショックを経て生まれたように、反原発の世論が、太陽光や風力などの新再生エネルギーの普及を拡大させるきっかけになるだろうという指摘だ。

大震災や原発事故は、経済的困難をもたらしたが、社会的には、より一層元気になる結果を生んだという分析もある。東京大学の有田伸教授(社会学)は、「災害復旧の過程で、被災者と全国のボランティアとが支援のやり取りを通じ、社会的な信頼は一段と強固なものになった」とし、「これまでは上から下に、中央政府から自治体へと一方的に流れていた日本の政策決定システムが、大震災をきっかけに、住民が直接参加するボトムアップのシステムへと変わるきっかけになっている」と指摘している。



changkim@donga.com bae2150@donga.com