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[社説]北朝鮮、同じ馬を3度売る考えなら誤算だ

[社説]北朝鮮、同じ馬を3度売る考えなら誤算だ

Posted March. 02, 2012 07:40,   

北朝鮮が、米国が栄養補助食品を提供することを条件に核関連活動の停止を約束したことは、08年12月の6者協議中断以降、悪化していた核問題を対話のテーブルにのせる契機になるだろう。金正恩(キム・ジョンウン)氏が、政権2ヵ月で核実験と長距離ミサイルの試験発射、ウラン濃縮の停止を約束し、一抹の期待を抱かせたことも事実だ。しかし、今回の合意が実践に移される前に警戒心を緩めることは禁物だ。北朝鮮は94年の米朝枠組み条約とその後の9・19共同宣言を含め、6者協議の合意を常に破り、「核保有国」を宣言した常習犯だ。

米国の評価も慎重だ。米朝高官協議に参加した米国の当局者は、「今回の合意は覆すことができるもので、北朝鮮が違う方向に進む恐れもある」と述べ、警戒心を露にした。クリントン米国務長官も「慎重な第一歩」と評価した。北朝鮮は核活動停止について、「猶予(モラトリアム)」と表現した米国と違い、「一時中止」と主張した。米朝高官協議が北朝鮮の思い通り進まなければ、直ちに核活動を再開するという意味だ。核活動の停止より、米国の栄養支援を掲げたことからも、北朝鮮の下心がうかがえる。

北朝鮮は来月15日、金日成(キム・イルソン)主席の100回目の誕生日を祝うために総力を上げている。金正恩氏は金日成主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の偶像化を通じて権力基盤を固める機会に活用するだろう。金正恩氏は、強盛大国の達成を宣言し、米国が送った救護品を住民に贈り物として配るかもしれない。北朝鮮は、権力交代の度に米国と核協議をする習性がある。金総書記は、金日成主席の死去3ヵ月後、米国と米朝枠組み条約を結んだ。その後、重油と食糧の提供を受け、裏で核開発を継続した。米朝合意を体制安定用の盾に利用したのだ。金正恩氏も父親の道を踏襲する可能性がある。

米国が北朝鮮の策略を看破できずに引きずられれば、核廃棄は一層難しくなる。北朝鮮は、韓国の対話の提案を拒否している。米国が硬直した南北関係を考慮せず、北朝鮮との対話に熱中すれば、北朝鮮の「通米封南」の術策を助けることになる。北朝鮮の6者協議首席代表の李容浩(リ・ヨンホ)外務次官が来週ニューヨークを訪問する。米朝対話が進展すればするほど、北朝鮮は南北対話への関心を持たなくなるだろう。米国は、米朝対話の過程で韓国と緊密に協議し、南北関係の改善に妨害になる合意は自制しなければならない。

米朝合意を実践に移すには、道は険しい。国際原子力機関(IAEA)査察団の復帰や5MW原子炉を含む寧辺(ヨンビョン)のすべての核活動停止など、解決しなければならない課題が多い。北朝鮮は、クリントン政府やブッシュ政府時代に、それぞれ米朝枠組み条約と9・19共同宣言で莫大な見返りを得て、「偽りの核廃棄の約束」を売った。オバマ政府はこれまで「同じ馬は買わない」と強調してきた。2回の核実験に続き、ウラン濃縮核兵器開発に手を出した北朝鮮に、米国が再びだまされるなら、核問題は戻ることのできない川を渡ることになるだろう。