2013年以降使用される中学校新歴史教科書の執筆基準が確定した。「大韓民国が韓半島の唯一の合法政府」という表現は維持されたが、「自由民主主義」は「自由民主的基本秩序」と併行して使用することになった。政権の独裁化に関する記述は、当初草案になかったが、加えられた。来月採択される高校歴史教科書の執筆基準も、同程度で作成されるものとみえる。
「自由民主主義関連の叙述」基準で、「自由民主主義」が「自由民主的基本秩序」になったことに対して、後退したという見方もなくはないが、「自由民主的基本秩序」は大きな枠組みで自由民主主義を意味するという見方が一般的だ。執筆基準の採択過程で、「自由民主主義」か「民主主義」かをめぐって歴史学界で争点となったが、この程度の妥協は容認できる。
韓半島の合法政府として大韓民国の唯一性を否定しようとする試みは、初めから無理だった。1948年の国連総会決議案の含意を無視し、文字どおり解釈して大韓民国は韓半島でなく38度線以南の唯一の合法政府にすぎないという主張は、その意図が疑われる主張だった。このような考えに従うなら、韓国戦争の時、国連軍が大韓民国政府を守護するために介入した理由を説明することはできない。
草案になかったが、歴史学界で問題が指摘され、使用が論議になった「独裁」という表現は、「独裁化」に変更して加えられた。「自由民主主義が長期政権による独裁化で試練を経験する」と記述するなら、現代史に類例のない北朝鮮の3代世襲独裁体制は、より重点をおいて鮮明に記述しなければならない。
教科書執筆基準の採択は、終わりではなくスタートだ。教育科学技術部(教科部)は、今年から高校で使用されている国史教科書の執筆基準を08年に提示した。当時も、「特定理念に偏向せず、歴史を客観的に把握できるよう記述する」という執筆基準があったが、検定審査を務めた教育課程評価院がこの基準を貫徹できず、大韓民国を蔑視し、北朝鮮体制を擁護する教科書が作くられた。
教科部は来年4月、中学高校の新歴史教科書の検定申請を受ける計画だ。国史編纂委員会は、教育課程評価院と違って、執筆基準による教科書検定を徹底しなければならない。中学校の国史は必修課目であり、来年から高校も必修課目になる。大韓民国を自虐し、従北主義まで横行する韓国社会の理念的混乱は、1980年代以降、進歩陣営を自称する左派勢力の歴史逆転の責任が小さくない。新しい歴史教科書では、このような歪曲をすべて取り除かなければならない。
偏向した歴史観を生徒に植え付けようとする一部の教師も大きな問題だ。大韓民国を否定するなど、時代錯誤な理念にとらわれた教師が生徒を教えるなら、教科書をいくらよく作っても効果がない。






