「ドログ神」と呼ばれるチェルシーのディディエ・ドログバが胸でボールをトラップしたあと、強烈なシュートでマンチェスター・ユナイテッド(マンU)のゴールネットを揺らし同点とした瞬間までは、チェルシーに希望が見えた。
13日、マンチェスター・オールドトラフォードで行われた欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグ準々決勝の第2戦。100億ウォン超の優勝賞金と地球最高の名門というプライドをかけて争うサッカー祭典で、チェルシーの富豪オーナー、ロマン・アブラモビッチ氏の表情は明るくなかった。本拠地で行われえたマンUとの準々決勝第1戦で0−1で負けているチェルシーにとって、この日は無条件勝たなければならなかった。
チェルシーはチャンピオンズリーグの優勝経験がない。ロシアの石油財閥アブラオモビッチ氏のチャンピオンズリーグへの執着は有名だ。彼はお金で優勝を買っているとまで言われながらも、巨額を注ぎ込んだ。今年初めだけで二人を獲得するのに1100億ウォンあまりを使った。
しかしイングランドのサッカー史上最大となる897億ウォンの移籍料を払って獲得したフェルナンド・トレスのプレーは失望感を与えた。チェルシーのカルロ・アンチェロッティ監督は前半戦が終わると、球団オーナーがちょう愛しているトレスを外して33歳のベテラン、ドログバを入れた。
後半43分、ドログバがゴールを決めると、オーナーの表情はほぐれるかのように見えた。チェルシーは前半序盤から激しく攻めに出たが、むしろ前半43分、ハビエル・エルナンデスに先制ゴールを許し0−1とされた。さらには一人が警告累積による退場処分を受ける不利な状況下で出た劇的な同点ゴールだった。しかし、アブラモビッチ氏とアンチェロッティ監督の安ど感は1分も続かなかった。
チェルシーが同点に追いついてから50秒後に、朴智星がチェルシーの希望を無残に踏み潰した。中盤の左対角線上から放ったシュートがチェルシーのゴールネットに突き刺さった。ドログバが同点ゴールを決めたパターンと似ていた。チャンピオンズリーグ決勝トーナメント通算4ゴール目。競技場を震撼させた7万のホームファンの歓声の凄さについて、マンUのホームページは、「これほど偉大な試合だからこそ聞ける原始的で歓喜に満ちた歓声だった」と表現した。
05年、アイントホーヘン時代にACミランとの準決勝第2戦でアジア選手では初めてチャンピオンズリーグ決勝トーナメントでゴールを決めた朴智星は、「夢の舞台」と言われるチャンピオンズリーグで、ここぞっと言うときに決定力を発揮し、「チャンピオンズリーグの男」であることを改めて証明した。
6年前のチャンピオンズリーグのACミラン戦での活躍でファーガソン監督の目に止まり、イングランドに移籍し、その後大きな進化を遂げた。朴智星は、今試合を前にして「ファーガソン監督が自分を選択したことが正しかったことを証明する。自分の大きなゲームほど自信が沸く。自ら強くなるのを感じるからだ」と話している。
朴智星は前半21分、相手DFジョン・テリーとぶつかって左目の周りが裂かれて出血するなかでも、11.06キロを走った。この日のゴールで今季通算7ゴール目(4アシスト)となり、李菁龍(イ・チョンヨン)と並んで攻撃ポイントを11とした。マンU入り後最高の成績だ。
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