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[オピニオン]対南放送と対北放送

Posted March. 11, 2011 06:51,   

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北朝鮮の対韓国放送である「平壤(ピョンヤン)放送」は、00年12月まで、「乱数放送」を流した。深夜12時から30分間、数字を読み上げる奇怪な番組だ。同放送は、「平壤の叔父が、ソウルの甥宛に送る」のような切り出しで始まる。ソウルの甥とは、特定スパイを呼ぶ暗号だ。そして15分間、3、15、128…」のように、数字を読み上げる。呼び出したスパイが、きちんと書き留めたかどうかを確認できるよう、15分間、再び繰り返す。スパイの持っている解読表で、この数字を解釈すれば、指令の内容が分かる。

◆北朝鮮は、韓国でインターネットの使用が増えると、乱数放送を中止した。その代わり、平壤放送を、北朝鮮を宣伝し、韓国を批判する番組で埋め尽くし、現在も1日に10時間ほど、放送している。北朝鮮はまた、別の対韓国心理戦放送である開城(ケソン)放送も行っている。ただ、電力事情が悪いためか、間をおき放送している。海外の北朝鮮寄り韓国人を狙った、国際放送も流している。常套的な内容だが、限りなく繰り返す戦略により、韓国国民を洗脳させようとしているのだ。

◆韓国の代表的な対北朝鮮放送は、KBSの社会教育放送や極東(ククドン)放送、アリランテレビなどだ。KBSは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の07年、社会教育放送を韓民族放送に名前を変え、北朝鮮住民相手から、中国やロシアなどに居住する在外韓国人中心に変わった。極東放送は、共産圏の宣教のために行うもので、純粋な対北朝鮮放送とは、みなせない。アリランテレビは、韓国のテレビ放送を受信できる、中国製テレビがなければ見ることができず、住民らの視聴は難しい。

◆従来の対北朝鮮放送の限界を穴埋めするメディアは、脱北者が開始した民間による対北朝鮮放送だ。盧武鉉政権による口出しを避けるため、彼らは外国から短波周波数を購入し、放送を開始した。短波は遠くまで届けられるが、音質はよくない。中波は、短波ほど遠くまでは届かないが、音質は優れている。このような限界を克服できる道が開かれた。崔時仲(チェ・シジュン)放送通信委員長は8日、国会で、「民間による対北朝鮮放送に、中波(AM)の割り振りを検討するつもりだ」と明らかにした。民間による対北朝鮮放送が中波で送出されれば、平安南道(ピョンアンナムド)より南の北朝鮮住民は、きれいな音質で、我が放送を聴くことができる。2400万の北朝鮮住民に対し、韓国と北朝鮮、そして世界の実状をありのまま、伝える道が開かれたことを意味する。

李政勳(イ・ジョンフン)論説委員 hoon@donga.com