ソウル市教育庁は最近、「名札のつけ方と関連し、生徒の人権が侵害されることがないよう、生徒の生活規定を制定・改正すべきだ」とした上で、「名札のつけ方を巡る条項を新設し、11学年度から全面的に実施せよ」という内容の通達を現場の学校に送った。
市教育庁は、「固定式の名札の改善を巡り、国家人権委員会の勧告事項を知らせたが、まだ改善していない学校がある」と、通達発送の理由を明らかにした。
制服の名札が人権問題へと飛び火したのは09年11月、人権委が、「名札を制服に取り付けるのは、個人のプライバシーや秘密保障に反する人権侵害だ」として、全国の教育監に対し、改善するよう勧告したことがきっかけとなった。当時、人権委は、「生徒の名札に書かれている名前が、登下校の時もそのまま露出されている。現場の学校では是正すべきだ」と勧告したが、一部では「行過ぎた解釈だ」として議論を呼んだ。その後、名札を取り外し式に変えた学校もあるが、「学校での生活指導が難しい」という理由で、固定式を維持しているところも多いのが現状だ。
人権委の勧告に強制力はない。しかし、郭魯鍱(クァク・ノヒョン)ソウル市教育監は、人権委の事務総長を努めた経験があり、生徒の人権を強調してきただけに、名札のつけ方問題を巡っても、積極的な改善意思を持っている。
固定式名札について生徒らの大半は、「学校の外でも、自分の名前を公にしなければならないのか」と、反対している。しかし一部では、「取り外し式に変えれば、学校内でも生徒らが名札をつけないのでは」と懸念している。金ドンソク韓国教員団体総連合会報道官は、「固定式名札は、学校外での生徒の脱線を食い止める効果がある上、学校内での生活指導においてもメリットがある」と述べ、「教育監の哲学のため、学校に対し強要する問題ではない」と語った。
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