米金融危機の引き金となったリーマンブラザーズ破産直後、李明博（イ・ミョンバク）大統領は、「各銀行の高賃金構造を維持したまま、政府から支援を受けるのは妥当ではない」と、銀行の高賃金を強く批判した。その後、国策銀行の役員賃金が削減され、都市銀行の役員らも給与を返納した。各銀行は、給与支給額を減らすため、職員らの休暇日数を増やした。金融危機を防ぐため、銀行税導入や銀行利益の１０％を庶民向け融資に義務付けるべきだという案も取り上げられたが、実現しなかった。
◆米国でも、金融機関の高額給与は悩みの種だ。バラク・オバマ米大統領は今年初頭、「膨大なボーナスを支払うぐらいなら、納税者から受け取った金は当然、返金すべきだ」として、ボーナスをばら撒いたウォール街の大手金融機関に対し、今後、１０年間で計９００億ドルの税金を課すことを公言した。０８年の金融危機の時、税金で支援を行った７０００億ドルの救済金融を、一部でも返金させるという。東西を問わず、金融界以外からの妬みは根深い。
◆ミケランジェロからガリレイに至るまで、芸術や学問を支援し、フィレンツェの有名な建築物を建設したメディチ家は、銀行家ギルドの構成員で両替屋を行い、富を築いた。彼らがバンカー（ｂａｎｋｅｒ）といわれるのは、街角にテーブルを置き、ベンチに座り、仕事をしたため、付けられた名前だ。メディチ家は後日、オランダや英国に渡り、近代式銀行モデルとなったが、一時、フィレンツェの富を独り占めしたという理由で、財産を没収され、追放されたこともある。初期の銀行家らは、「ヴェニスの商人」に出るシャイロックのような批判対象だった。
◆韓国取引所で、１億ウォン以上の高額所得者が４０％に達すると、鞖英植（べ・ヨンシク）議員（ハンナラ党）が、国政監査で指摘した。金融公企業の平均年収は、産銀（サンウン）金融持株が１億１６００万ウォンで最も高く、政策金融公社（９５００万ウォン）、産銀（８７００万ウォン）の順だ。米ハーバード大学の金融史学者のニーアル・ファーガソン教授は、「貧困は、貪欲な金融業者が、貧しい者から搾取した結果ではない」（「金融の支配」）と強調している。しかし、うまく行く時は高所得を享受し、倒産の危機に追い込まれると、国民の税金で造成された救済金融に頼り、金融機関の役員や従業員の高額所得に文句を言う人は、多くならざるを得ない。
朴永均（パク・ヨンギュン）論説委員 parkyk@donga.com
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