虚偽事実で相手候補を中傷したり、選挙を巡って金品をやり取りしたり、選挙広報物を毀損したりする各種選挙犯罪は、民主主義を脅かす悪質犯罪だ。金民錫(キム・ミンソク)首相も、6・3地方選を50日後に控えた4月14日、「人工知能(AI)を悪用した虚偽情報流布や選挙暴力、公務員の選挙介入などの選挙犯罪について、無寛容原則で厳正かつ断固として対処する」と公言した。
特に最近はディープフェイク選挙犯罪が急増しており、かつてないほど徹底的で公正な捜査が求められている。蔚山(ウルサン)で区長選への出馬を準備していたある候補は、3月、自身のフェイスブックに、あたかも米時事週刊誌「タイム」から「世界を注目させたリーダー」に選ばれたかのようなAI生成映像を投稿し、中央選挙管理委員会に摘発された。これにより、過料500万ウォンを科されるとともに、警察の捜査を受けることになった。。慶尚南道(キョンサンナムド)知事選でも、野党「国民の力」の朴完洙(パク・ワンス)候補と与党「共に民主党」の金慶洙(キム・ギョンス)候補が、ディープフェイク映像を制作・流布したとの疑惑を巡って攻防を繰り広げている。選挙後であっても、明明白白に解明しなければならない事案だ。
法務部は最近、ディープフェイク選挙犯罪によって、4年前の地方選より黒色宣伝が約50%増加したとみている。さらに、広域・基礎自治体首長選に加え、広域・基礎議員選、教育監選、国会議員補欠選まで重なり、各種選挙に出馬した候補者数も4年前より213人増えた7829人に達する。このため、2018年の第7回地方選で4207人、2022年の第8回地方選で3790人と減少傾向を見せていた選挙犯罪立件者数が、今回の選挙では再び増加する可能性がある。
選挙で当選しても、選挙法違反などの容疑で裁判にかけられれば、裁判所の判決結果によって当選が無効となる可能性があるだけに、選挙犯罪捜査は何より公正でなければならない。2022年地方選で、選挙犯罪で裁判にかけられた当選者だけでも134人に上った。当選無効による再選挙のために、本来使う必要のなかった国民の税金が浪費されることも、国家的損失だ。
しかも、選挙犯罪は時効が6カ月と明確に定められており、限られた時間内に捜査を終えなければならない。そのため、新たに再編される刑事司法体系の下で行われる今回の地方選選挙犯罪捜査では、これまで以上に政府省庁と捜査機関の綿密な連携が不可欠だ。6・3地方選選挙犯罪の時効が満了する12月3日までに、公訴庁と重大犯罪捜査庁が発足するが、いかなる捜査空白も生じないよう事前準備が必要だという意味である。
これに先立って検察と警察は、房時赫(パン・シヒョク)ハイブ議長に対する資本市場法上の詐欺的不正取引容疑捜査を巡り、何度も足並みの乱れを露呈した。互いに捜査権を主張して神経戦を繰り広げた末、調査期間だけが長引き、最初の調査後、逮捕状請求に至るまで7カ月もかかった。それでも令状差し戻しと再請求が繰り返され、捜査は18カ月目に入っている。公認献金授受など、無所属の金炳基(キム・ビョンギ)議員を巡る13件の疑惑捜査も9カ月間続いている。選挙犯罪捜査がこのような形で進められるなら、被疑者も有権者も、その結果を受け入れられないだろう。選挙犯罪捜査には、いかなる疑念も残してはならない。
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