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[社説]黄長鎏と金正恩

Posted October. 11, 2010 04:02,   

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「個人の偶像化が権力の偶像化に変わり、それが再び国民を奴隷化するだけでなく、統治者自ら自己幻想におちいり、愚かになる」。10日、87才で亡くなった黄長鎏(ファン・ジャンヨプ)元労働党書記が回顧録に書いた言葉だ。北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と後継者の金正恩(キム・ジョンウン)氏は10日、労働党創建65周年記念式場で、兵力2万人を動員した大規模な軍事パレードを観覧した。最悪の経済難で人民は飢えているのに、後継者の登場を祝う大規模な閲兵式に湯水のごとく金を使う愚かなことを、黄書記の回顧録はうまく説明している。

北朝鮮が、時代錯誤的な3代世襲を内外に知らしめるために、大々的な宣伝攻勢を繰り広げた日、偶然にも金日成(キム・イルソン)独裁の理念的基盤である主体思想を確立した人物が亡くなった。97年、北朝鮮は、最高人民会議議長や労働党書記を務め、金日成—金正日親子を補佐した黄氏が中国経由で韓国に亡命すると、「裏切り者、出て行くなら出て行け」とショックを隠すことができなかった。金正日政権は、黄氏を暗殺するために何度もスパイを送り込んだが、いつも失敗した。金総書記は、黄氏の死を喜ぶかもしれないが、北朝鮮政権に対する黄氏の診断と予言を頭の中から消すことはできないだろう。

黄氏は生前、金正恩氏について、「あの程度の人のことを知って何の意味があるのか」と述べ、「3代世襲は滅亡を早める」と批判した。黄氏が死亡する9日前、東亞(トンア)日報の記者に会った時は、「北朝鮮の本質的な問題が解決されなければ、誰が後継者になろうが何の変化もない」と述べ、北朝鮮の将来を依然として悲観的に展望した。

黄氏は、脱北者団体連合会常任代表、脱北者同志会顧問、国家情報院統一政策研究所理事長、国家安全保障戦略研究所常任顧問などを務め、北朝鮮の実状を韓国国民に伝えることに努めた。アウンサンテロ、大韓航空機爆破事件のような北朝鮮の国家犯罪を証言し、90年代半ばの苦難の行軍の時、100万人以上が餓死した北朝鮮同胞の苦痛を生々しく伝えた。黄氏がいなかったなら、幕の内側で起こっている北朝鮮の秘密の多くを知らずに過ごしたことだろう。

黄氏は、韓国国民にも厳しい忠告を遺言のように投げかけた。黄氏は、「多くの韓国国民が天安(チョンアン)艦沈没事件の実体を信じず、金正日総書記の肩を持つなら、統一はさておき自らを守ることもできない」と警告した。2400万の北朝鮮の同胞を圧制から救い出し、南北統一を達成するという夢が実現する日に、黄氏は安らかに眠ることができるだろう。