韓国がアジアの中で初めて欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結しようとしたことに対して、日本の民官が一斉に危機意識を示している。菅直人政府の嚮導役を務めている仙谷由人官房長官は、「日本が世界化の流れから立ち遅れかねない。国境の垣根が低くなっている時代に鎖国のような状況に直面するのは尋常でないことだ」と話した。片山幹雄シューフ社長は、「韓国製品に対するEUの関税引き下げ分を日本企業が自力でカバーするのは難しい」と言って、日本はEUとのFTAをどうして早く結べないのかと不満を吐露した。日本のアジア経済研究所は、日本が韓国に年間30億ドルの欧州市場を奪われるものと分析した。
米国も韓—EUのFTA署名に神経を尖らせている。バラック・オバマ米大統領はロン・カーク貿易代表部(USTR)代表に、「韓米FTAを早期に発効させるために、批准に拍車をかけるように」と指示した模様だ。デビッド・キャンプ共和党下院議員は、「韓—EUのFTA署名は米国の輸出業者と勤労者が他国との競争で立ち遅れるかも知れないという点を示した」と懸念した。中間選挙が来月初めに迫った米国が、早速FTA批准を急ぐ可能性は低いが、韓—EUFTAが米国に刺激を与えたのは確かだ。
韓—EUFTAは25万個以上の雇用創出、8兆ウォン以上の国民所得増加率をもたらすと期待される。もちろん、畜産業をはじめ農業部門も打撃も大きい。しかし、通商交渉で何も与えずに大きなことを得ることはできない。国内的な補完対策は与野党が膝を突き合わせてまとめるべきだ。
韓国が米国、インド、EUなどと相次いでFTA交渉を成功させ、「FTA先進国」に浮上していることに対するわが国の野党の反応は対照的だ。民主党は、「韓—EUFTAは国民的な議論の過程が省略されて疎通に問題があるとして、韓—EUFTA特委の設置を主張した。我々がEUとFTA交渉を始めたのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代の07年5月で、両政府にかけて3年5ヵ月も交渉を続けた。民主党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)、千正培(チョン・ジョンベ)、朴柱宣(パク・ジュソン)、趙培淑(チョ・ベスク)最高委員、民主労働党の李正姫(イ・ジョンヒ)代表ら、野党議員32人は韓米FTAの全面的な再交渉を要求した。米国で韓米FTAが韓国にもっと有利に締結されたと追加交渉を求めているところで、我々の方から再交渉を求めるのは誰のためのことなのか。韓米FTAを締結した盧武鉉政権で長官を務めた鄭東泳、千正培議員は再交渉を云々する資格もない。
韓国がグローバル競争で立ち遅れず、国民所得を雇用を引き続き増やすためには、自由貿易の拡大は他の代案のない選択だ。野党が国民の生存と国の将来がかかっている事案に対し、その都度足の引っ張りに終始すれば、競争国を助ける行為に他ならない。