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[オピニオン]河回村と良洞村

Posted August. 02, 2010 08:10,   

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慶尚北道(キョンサンブクト)は昨年から、伝統村の体験イベントを催している。大都市に住む人々が家族連れでやってきて、数百年の古屋敷で一晩過ごし、ソンビ(儒者の士)文化と伝統料理を体験する。国立民俗博物館は、忠清南道(チュンチョンナムド)の5つの民俗村を訪問するイベント「行こう、1泊2日の忠南民俗村」を今年から開催している。うわさが広まり、イベントの度に定員の10倍を上回る申し込みがあり、抽選で選ぶ。忘れられた伝統村が、地方を活性化する観光資源として浮上してる。

◆31日、ユネスコ世界遺産に登録された河回(ハフェ)村と良洞(ヤンドン)村は、国内の伝統村の中で代表的な場所だ。慶尚北道安東(キョンサンプクト・アンドン)にある河回村は、600年以上、慶尚北道慶州(キョンジュ)にある良洞村は500年以上、同じ門中の人々が暮らしてきた両班(ヤンバン)の村だ。多くの戦乱を経ながらも2つの村が原形を保っているのは奇跡に近い。ソウルで600年の古都の姿を探すのは難しい。閑静な農村にも、マンションなどの現代式の建物が建っている。韓国の文化と自然遺産が世界遺産に登録されたのは今回で10度目だが、伝統村は初めてだ。住民が伝統家屋だけでなく、儒教の伝統といった無形の文化を保存したことが、2つの村の価値を高めた。

◆世界遺産に指定されれば、観光客の訪問が急増する。昨年6月末に世界遺産に登録された朝鮮(チョソン)王陵を訪れた外国人は、8倍に増えた。昨年1月から6月までの朝鮮王陵の外国人観光客は4648人だったが、今年の同じ期間には3万7063人に増加した。2つの村が国際的な名所として人気を集めるのは喜ばしいことだが、多くの人が一度に訪れた時、原形の保存が憂慮されるのも事実だ。それだけに、世界遺産登録は自負心とともに責任が伴う。

◆河回村は、文禄・慶長の役の失敗を記録し、後代の教訓として残した「懲鋆録」の著者・柳成龍(ユ・ソンリョン)を、良洞村は、代表的な性理学者の李彦迪(イ・オンジョク)を輩出した場所だ。2つの村の原形保存だけでなく、先人が残した精神的遺産を守る責任もある。国内の観光客は2つの村の外形だけを見て帰るのではなく、村の人々が継承してきた精神的価値を感じることにも関心を持たなければならない。

洪賛植(ホン・チャンシク)首席論説委員 chansik@donga.com