米メキシコ湾の石油採掘施設の爆発事故で、原油流出の被害が広がっている。2日(現地時間)、事故地域を視察したオバマ米大統領は、「今回の事件は、前例のない環境汚染を引き起こす可能性が高い。被害を食い止めるために政府はあらゆる措置を取る」と明らかにした。専門家らは、原油の流出による被害規模が140億ドルを上回ると予想するなど、被害の拡散にともなう後遺症が甚大であることを予告した。
何よりも事故責任がある英国の石油会社ブリティッシュ・ペトローリアム(BP)が支払う費用が莫大だ。BPは先週から、1日600万ドルを防除作業に使用している。原油の帯が海岸地域に達する場合、費用はさらに急増するものとみられる。
バーンスタイン投資会社のニール・マクマホン・アナリストは、「防除費用が総70億ドルに達するだろう」と見通した。被害地域の補償規模も数十億ドルにのぼると予想される。ルイジアナの水産業に25億ドル、フロリダの観光業に30億ドルの被害が及ぼすとアナリストらは分析した。
また、BPは、原油流出を防ぐため、作業に1億ドルを使わなければならず、死亡したと推定される作業員11人に対する補償対策も必要だ。BPは05年に、テキサス市の精油施設の爆発事故で死亡した15人の労働者の遺族に対し、20億ドルの補償金を支払った。ロイター通信は、「今回の事故の収拾にかかる費用は、少なくとも、140億ドル以上と推定される」と見通した。
流出規模も予想より大きくなるものと憂慮されている。米海岸警備隊のタグ・アラン司令官は同日、CNNに出演し、「海底油井のふたが完全に流失する場合、原油の流出速度が1日10万バレルに増える恐れがある」と明らかにした。このような推定値は、現在の1日の流出量の5000バレルの20倍にのぼる。
ケン・サラザール米内務長官も、「最悪のシナリオは、1日10万バレル以上の原油が流出することだ」と話した。また、「今回の事態を完全に解決するには、90日ほどかかるだろう。原油の流出を防ぐには、より深い深海で減圧油井に入坑することが抜本的な解決策だ」と説明した。しかし、この過程でかなりの原油が流出せざるを得ないというのが悩みだ。
米政府は、流出した原油がメキシコ湾流に乗り、大西洋に移動する可能性に神経を尖らせている。この場合、フロリダ南端の観光ビーチや海洋産業に大きな打撃を与えることが憂慮される。海洋大気庁は同日、ミシシッピ・デルタからフロリダのペンサコーラに達するメキシコ湾一帯に、レジャー用の釣りはもとより、漁民の操業を少なくとも10日間、禁止する措置を発表した。
オバマ大統領は2日、ヘリコプターで事故の地域を視察したが、天候の悪化で原油の帯が広がった状況を十分に視察できなかったと、ロバート・ギブス大統領報道官が明らかにした。オバマ大統領は、ルイジアナ州ベニスで記者団に対し、「原油の流出で地域経済が深刻に荒廃している。被害を受けたすべての国民のために、米政府はできる限りのことをする」と述べた。さらに、「明確にBPに流出の責任がある。BPがすべての費用を支払うだろう」と強調した。
yhchoi65@donga.com