06年10月、日本の福井県の西川一誠知事が、「故郷への寄付金に対する控除」を提言した。以前にも一部の政治家が、「地域発展に向け、故郷に税金を納めよう」と提案したことがあるが、西川知事の呼び掛けを機に「ふるさと納税」の議論が本格化した。「地域間の深刻な税収格差を減らす必要がある」という賛成論と、「住民税の受益者負担の原則に反する」という反対論が対抗した末、08年4月にふるさと納税が導入された。
◆日本のふるさと納税は、出身地域など希望地方を指定し寄付金を納めれば、その分の金額が居住地の自治体に支払う翌年の住民税から控除される制度だ。広域自治体の都道府県や基礎自治体の市町村に納めることができるふるさと納税の納付額は、1人当たり5000円(約6万ウォン)以上で、上限は住民税の約10%だ。岐阜県の場合、08年の寄付金は477万円だった反面、各市町村に納められたふるさと納税の総額は、64倍の3億700万円だった。韓国で言えば、江原道(カンウォンド)よりも江陵市(カンヌンシ)や固城郡(コソングン)への寄付を選好したことを示している。
◆与党ハンナラ党が、市郡区に納める住民税の最大30%を出生地など5年以上居住した地域に納付できるようにするふるさと納税の新設を推進する。同法案が確定すれば、年俸が6600万ウォンの会社員は、1年分の住民税40万ウォンのうち、最高12万ウォンをふるさとに納めることができるようになる。納付額分が居住地の住民税から控除されるので、1人当たりの税金総額は変わらない。ふるさと納税が導入されれば、財政状態がよいソウル、京畿道(キョンギド)、仁川(インチョン)などの首都圏地域の住民税の税収は減るが、慶尚道(キョンサンド)、全羅道(チョンラド)、江原道(カンウォンド)、済州道(チェジュド)、忠清道(チュンチョンド)など、税収が少ない地方自治体には役に立つだろう
◆ふるさと納税は、地方自治体間の対立と過熱誘致競争のような副作用を招く恐れがある。しかし、現在の首都圏とその他の地域間の財政自立度の差は、見過ごすにはあまりにも大きい。地方の劣悪な財政自立度は、人口の減少と地方経済の萎縮など悪循環を起こす。全体の税金を増やさず、予想される副作用を最小限にするなら、ふるさと納税は「温かい税」になるだろう。故郷を離れた人々が、ふるさとに税を納め、愛情を示すことは、他地域を嫌う否定的な地域感情とは次元が異なる。
権純活(クォン・スンファル)論説委員shkwon@donga.com






