北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が、今月初めに中国を訪問する場合、これは、昨年後半以降の健康状態の悪化や、行動が明らかになることに伴う身の安全の脅威を顧みない行動と見受けられる。
国際社会の北朝鮮制裁とデノミネーション(通貨呼称単位の変更)の失敗など、内外の危機状況を突破して、体制を維持するための避けられない選択だ。国際社会の関心は、まず北朝鮮が6者協議に復帰するかどうかに集中している。
●6者協議に前向きな方針出るか
韓国政府当局者は、「金総書記が中国を訪問するからといって、ただちに6者協議が開かれると断定することは難しいが、6者協議の再開に悪くないだろう」と話した。金総書記が、中国の指導部に会った際、経済協力を要請し、北朝鮮の6者協議復帰問題に言及しないわけにはいかないためだ。
政府高官は、「金総書記が、中国指導部側に『韓半島非核化の維持には変わりなく、6者協議への参加を考慮する』という程度の前進した言及をする可能性がある」と話した。
統一研究院の崔春欽(チェ・チュンフム)研究委員は、「金総書記が、6者協議は明示しないだろうが、『北朝鮮の核問題を平和的に解決する』という程度の言及はするだろう」と見通した。
しかし、北朝鮮の6者協議への復帰が非核化を保障するものではなく、長い交渉の開始を知らせる象徴的な動きという点で、政府当局者らは慎重な態度を見せている。ある当局者は、「6者協議に対する北朝鮮の最近の態度は、国連安全保障理事会の制裁を解除してこそ6者協議に復帰でき、6者協議で平和協定を話し合うというものだ。非核化に関心がない北朝鮮が6者協議に出てきても、平和協定などの議題をめぐる神経戦で焦点をぼかし、会談の速度調整に出る可能性が高い」と話した。
●内部危機の突破、中国の支援が狙いか
金総書記は、中国の胡錦濤国家主席との首脳会談を通じて、中国の経済的支援の確保に力を入れるものとみられる。昨年11月30日に行ったデノミと外貨統制政策が、住民とエリートの反発で事実上失敗し、その副作用で混乱を来たしている状況下で、中国の支援が欠かせないためだ。
国家安保戦略研究所の朴ビョングァン研究委員は、「金総書記が、身の危険を顧みず訪中するなら、それだけ窮地に追い込まれていることを意味する。国際社会の制裁などの外部の圧力は、金総書記を揺さぶることができなかったとしても、デノミ政策後の内部の圧迫は、金総書記を揺さぶっているのだろう」と説明した。
三星(サムソン)経済研究所の董龍昇(ドン・ヨンスン)経済安保チーム長は、「昨年10月、中国の温家宝首相が訪問の時に約束した新鴨緑江(アプロクカン)鉄橋の建設と2000万ドル相当の経済支援など、中国の北朝鮮支援を確認し、自分の健在を誇示する政治的目的を追求するだろう」と見通した。
●訪中は実現するか、ドタキャンの前例も
外交筋の観測によると、金総書記は1〜3日、専用列車に乗って北京に向かう可能性が高い。9日には第12期最高人民会議第2回代議員大会があり、15日は金日成(キム・イルソン)主席の誕生日なので、その前に平壌(ピョンヤン)に戻らなければならないためだ。
しかし、金総書記の訪中は、金総書記の中国での行動が確認されるまで予断できないのが現実だ。金総書記は06年8月にも、中国を訪問するために新義州(シンウィジュ)まで行ったが、突然取り消した前例がある。
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