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[社説]米国の「医療保険制度改革立法」が見せた成熟した民主主義

[社説]米国の「医療保険制度改革立法」が見せた成熟した民主主義

Posted March. 23, 2010 02:58,   

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オバマ米大統領が、政治的命運をかけ、推進した医療保険制度改革法案が、昨年12月の上院に続き、21日に下院でも可決したことで、事実上成立した。1912年、セオドア・ルーズベルト大統領の大統領選挙公約から始まった全国民医療保険制度の導入は、歴代大統領が何度も試みたが、莫大な財政負担や階層間の利害対立、理念的論議のために失敗に終わった。米国は、医療保険制度改革立法に成功したことで、先進国の中で唯一、医療皆保険がない国という汚名返上し、3200万人が医療保険の恩恵をさらに受けることになった。

08年の大統領選挙当時、医療保険制度改革を最大公約に掲げたオバマ大統領は、昨年1月の就任後、医療保険制度改革の法制化に総力を傾けた。オバマ大統領は、与野党合意で医療保険制度改革法案を可決させるため、「敵陣である」共和党議員の研究会に出席し、共和党議員をホワイトハウスに招き、熱を帯びた討論を行った。外国歴訪の日程を延期し、大統領専用機に野党議員を同乗させ、説得したこともあった。オバマ大統領は、フォックスニュースを「保守勢力の手先」と批判したが、医療保険制度改革のために同テレビとのインタビューも拒まなかった。オバマ大統領は、結果的には野党の支持を引き出すのには失敗したが、野党と国民を説得するために渾身の努力を傾けた点だけは高く評価できる。

オバマ大統領は、多くの国民のために必ず実現しなければならないと信じた改革を、中間選挙や次期大統領選挙での政治的敗北まで覚悟してやり抜いた。オバマ大統領は、今回の医療保険制度改革のために、保守層だけでなく一部進歩層の支持も失う恐れがあるが、米国の最大難題一つを解決するために、目前の政治的利益を放棄できるという姿勢を明確にした。オバマ大統領は、大統領再選ができなくても、医療保険制度改革を実現するという意欲を1月に明らかにしていた。

野党の共和党は、上下両院で少数派だが、法案審査や採決の時、物理的阻止や外部勢力と連携した場外闘争のようなことはしなかった。議会民主主義の手続きを尊重し、数回に渡り法案を修正し、採決の結果に承服することで、手続き民主主義を生かす成熟した姿を示した。韓国政界は、なぜこういう姿を見ないのだろうか。

オバマ大統領の就任後、ホワイトハウスと米議会の最優先懸案が医療保険制度改革だったので、アフガニスタン問題を除く別の国際懸案は、米国政治の優先順位の後方に押し出されているようだ。もはや医療保険制度改革に決着がつき、米国が韓米自由貿易協定(FTA)、北朝鮮の核問題などの重要課題を解決するために、より積極的な姿勢を示すことが期待される。