錦湖タイヤが、企業改善作業(ウォークアウト)手続きを進めている中、ストの危機に見舞われている。同社がこのような切羽詰った立場に追い込まれたのには、いくつか理由があるだろうが、経営と労使管理面での失敗を指摘する経済専門家が多い。国内タイヤ市場でのシェアが40%に上るほど、基礎体力がしっかりしている錦湖タイヤを不良企業にしたのは、ほかならぬ経営陣や労組両方の過ちが大きいという。
●経営陣による無理な投資、買収
錦湖タイヤの欧州市場の主力製品である「エキスタHM」は最近、欧州の権威ある自動車専門誌の「アウトビルト」主管の品質テストで、国内製品としては唯一、「強力推薦」等級がつけられた。これに先立ち、先月はドイツ・ケルンで開かれた世界最大規模の万博で、「今年のタイヤ製造やデザイン革新賞」を受賞した。製品の競争力は優れていると言う意味だ。
錦湖タイヤの失敗は、無理な投資を進めた経営陣、経営事情が悪化したにも関わらず、過度な賃上げに固執した労組から探すべきだという指摘が多い。
錦湖タイヤの昨年営業損失は、1992億ウォンに上る。世界的な経済危機の影響もあったが、ライバル社である韓国タイヤが、内需市場で営業利益=3484億ウォン、連結営業利益=5493億ウォンに比べれば、対照的である。錦湖タイヤの営業利益は、04年から下落傾向が続いている。08年の原油価格高騰の際は、原材料を大量に買い付け大損し、ベトナムの天然ゴム加工工場やタイヤ工場、中国工場など、相次ぐ大規模な海外投資を行ったのも、負担に働いたと言う分析だ。
事業外の悪材料もあった。錦湖アシアナグループは06年、大宇(テウ)建設を買収し、錦湖タイヤから約5000億ウォンの借入金を調達した。これに伴う利息コストなどにより、錦湖タイヤの営業外費用は、05年=810億ウォンから、07年=1946億ウォン、08年=4594億ウォンと雪だるまのように膨らんだ。労組が、「経営陣の過ちのしわ寄せを組合員におしつけてはならない」とし、リストラに反発した理由でもある。
●労組、賃上げに拘り
錦湖タイヤの営業利益率は、04年=10.2%から08年=1.5%へと激減した。しかし、同期間、生産職の従業員らの賃上げ率は、平均11.5%だった。世界的な経済危機により、減産した昨年も、労組は賃金交渉で、7.48%の基本給の引き上げなどを要求し、ストを行った。
繰り返される賃上げにより、08年基準の錦湖タイヤの平均賃金は6600万ウォンと、ライバル社の平均賃金より約2300万ウォン多いというのが、会社側の主張だ。会社側が、15日に公開した08年の年末清算資料によると、同年、生産職の従業員4278人中、1億ウォン以上を受け取ったのは209人に上る。スト期間は労働しなければ、賃金無しの原則を適用し、全体の平均賃金が減少した昨年も、生産職の従業員7人が、1億ウォン以上の賃金を受け取ったと、会社側は付け加えた。
今年も錦湖タイヤの労使は、構造調整問題を巡り、対立が続いている。会社側が1199人に対し、事実上のリストラを通知し、労組はスト賛否を巡る投票で、スト案を可決させるなど、一触即発状態に突っ走っている。
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