ジョージ・Ｈ・ブッシュ（父親のブッシュ）は１９９２年、現職大統領という有利な立場を頼りに再選に挑戦したが、ビル・クリントンに負けた。これでブッシュ氏は、１９８０年以降、唯一「再選に失敗した大統領」という記録を持った。選挙戦が過熱すると、ブッシュ氏はクリントン氏のことを「間抜け者」と、クリントン氏はブッシュ氏を「信頼できない人」と攻撃した。０１年、大統領に就任したジョージ・Ｗ・ブッシュが就任初期、ＡＢＣ（Anything But Clinton＝クリントンの政策でなければ何でもやる）に没頭した背景には、父親を下した政敵への反感が多少働いていた。
◆ブッシュ家は、クリントン氏に根強い敵対感情があってもおかしくないが、現実は正反対だ。昨年５月、カナダ・トロントで開かれた討論会に出席した息子のブッシュ氏とクリントン氏は、争うようにお互いを褒め称えた。ブッシュ氏は、「母（バーバラ女子）が、クリントンを息子のように思っている」とし、「私たちは兄弟だ」と述べ、クリントン氏はブッシュ氏の在任時代の業績を高く評価し、雰囲気を盛り上げた。し烈な舌戦を期待していた聴衆は、がっかりした。
◆ブッシュ家とクリントン氏の和解は、０４年１２月、インド洋で発生した津波が契機になった。当時大統領だったブッシュ氏が、父親のブッシュ氏とクリントン氏を民間募金委員会の共同委員長に招いた。喜んで応じた２人の元大統領は、タイ、インドネシア、スリランカ、モルディブを歴訪し、米国民の寄付を訴えた。２人は０６年、ハリケーン・カトリーナが米国を襲った時も、募金のために手を組んだ。同年、タイム誌は、２人を「今年のパートナー」に選定した。
◆今度は、息子のブッシュ氏とクリントン氏が、ハイチ地震救護のために力を出し合った。１６日、バラク・オバマ米大統領の招待で、ホワイトハウスを訪れた２人は、「ハイチを救えるように、救護金を送ってほしい」と米国民に訴えた。彼らが開設したウェブ・サイト（www.clintonbushhaitifund.org）には、早くも７６，０００件の支援が寄せられた。悪縁は水に流し、絶望に陥っていた外国の国民のために、手を取り合う米国の元大統領。地球村に温もりを届ける美しい人々だ。韓国の元大統領たちは、ブッシュ氏とクリントン氏の友情を見ながら、どのような思いでいるのか気になる。
方炯南（パン・ヒョンナム）論説委員 hnbhang@donga.com
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