「あの時は、本当にすごかったですね」
河日成(ハ・イルソン)元韓国野球委員会(KBO)事務総長(写真)は、1980年代序盤の高校野球の熱気を忘れられずにいる。東大門(トンデムン)野球場は、黄金獅子旗全国大会初日から3万観衆で埋め尽くされたりした。河元総長は、「野球場の周辺が人で一杯で、垣根を越えてやっと中継席に着いたこともある」と振り返った。
20年あまりの月日が経った今、高校野球の全盛時代は影も形もない。野球のメッカ、東大門野球場は2年前に撤去された。全国大会が開かれても、観衆のない彼らばかりのお祭りになった。1982年スタートしたプロ野球の人気に押されたからだ。
河元総長は、「今はプロ野球が高校野球の復興に乗り出すべき」と話す。「毎年初めて開かれる黄金獅子旗大会の時、プロ球団が蚕室(チャムシル)球場と木洞(モクドン)球場をしばらく空いてあげる気配りが要ります。試合のない日、LGは2軍球場の九里(クリ)、斗山(トゥサン)は利川(イチョン)で練習すれば、高校選手らが良い環境でプレーできるのではないでしょうか」。
17日会った河元総長が渡した名刺には、スカイエンターテインメント会長と書かれていた。口が達者なことで有名な彼に講演の要請が殺到して、これを管理するために企画会社を立ち上げたものだ。彼の手帳には、来年1月まで、ほぼ毎日講演の日程が入っている。
しかし、彼の心はいつも野球のそばにある。ソンドン高の選手時代の白黒写真をいつも持ち歩いている。暇さえあれば、野球関連書籍を読むことも忘れない。彼は来春、野球解説家としてのカムバックを準備している。2ヵ所の放送局から話があるという。1979年、解説家としてデビューし、KBO事務総長として3年間働いた後、実家へ戻るわけだ。彼が考える野球解説の魅力は何だろうか。
「スウィングや投球を分析することより、劇的な状況をうまく表現してこそ面白い解説になります。選手の顔を見ただけで、どのような気持ちなのかを読み取らなければならないわけです。中継する時、時々、投手やコーチらに電話をかけて、助言を求めたりもします」。
河元総長は、「来年はワールドカップが開かれるため、野球が盛り上がり難いかも知れない」と言いつつ、「野球場でワールドカップニュースの文字中継サービスなどを行えばいい」と話す。
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