ソウル市教育庁が、初の高校選択制の実施を10数日後に控えて、突然、江南区(カンナムグ)や陽川(ヤンチョング)に住む生徒の学校選択権を大幅に縮小した。現在の中学3年生を対象に行う高校選択制は、第1段階ではソウル全域から申し込みを受け付け、学校別定員の20%を抽選で選ぶ。第2段階は、学校群内から申し込みを受け付け、学校定員の40%を抽選し、第3段階は残りの40%は通学環境を考慮し、周辺の住民に強制的に配分する方式だ。しかし、模擬テストの結果、江南や木洞(モクドン)地域の高校に志願者が集中し、市教育庁は、これらの地域に限り、第2段階でも従来のように通学環境に基づき、周辺住民に強制的に配分するという。
そうすれば、江南や木洞地域の学校は定員の80%が高校選択制から事実上除外され、これらの学校の周辺に住む生徒らには絶対的に有利になる。所得水準が高く、教育環境の優れている特定地域に、例外的恩恵を与えることになる。先月の模擬配分の結果、5人中4人が望む学校への配分を受けることができることがわかったが、江南や陽川地域においては、様相が変わらざるを得ない。公教育の質を高めるために導入された高校選択制は、富裕層が暮らす特定地域だけ事実上例外となり、社会的議論が予想される。
市教育庁は、「好まれる学校群内の保護者から抗議電話が多く寄せられている」と明らかにし、これらの地域住民の苦情が働いたことを仄めかした。市教育庁は富裕層が住んでおり、教育環境のよい地域の居住者の反発に押され、教育環境が相対的によくない地域の生徒らがよい学校に進学できる機会を大幅に縮小したという批判を受けても仕方ない。
さらに、市教育庁はこのような事実を公式に発表せず、一部の地域の保護者らにのみ通知文で知らせ、静かに済まそうとしたが、記者らによる抗議が殺到すると、後になって謝罪の記者会見を開いた。しかし、このようなやり方で、いい加減に処理できることではない。ソウル市内の大半の保護者や生徒を騙した市教育庁の決定は、いかなる方式であれ、正されるべきであり、責任も問わなければならない。
孔貞澤(コン・ジョンテク)前教育監の辞任を受け、教育監が空席の状態でこのような出来事が起き、混乱を極めている。今回の高校選択制の変更により損することになった保護者らによる反発は大きいだろう。教育科学技術部や市教育庁がこの問題をどう解決していくのか、気になる。3年前から国民に対して約束してきた通り、高校選択制の例外のない原状復帰こそそ、解決策となるだろう。