今年第3四半期(7〜9月)の実質国内総生産(GDP)は、前四半期比2.9%成長し、7年6ヵ月ぶりの最大伸び率を記録した。政府は、第4四半期に1%の成長を見込んでおり、0.5%以上の成長を遂げれば、年間を通してプラス成長も可能となる。昨年9月のグローバル金融危機直後、マイナス成長を想定していた時に比べれば、はっきりと好転した空気が感じられる。
しかし、危機脱出のエンジンだった低金利やウォン安、原油安の「3安現象」は終わりつつあり、国内外の環境は依然として油断できない状況だ。設備投資(8.9%増)や民間消費(1.4%増)の回復は、依然として弱い。上半期は、政府支出の拡大が景気を支えしてきたが、支出規模が減少した第3四半期は、政府財政支出のGDP成長への貢献率はマイナス0.1%だった。政府は、年末には来年の財政を前倒し執行するとしているが、それには限界がある。
輸出は、今回を含めた40年間、計5回に渡り、経済危機克服の主役だった。しかし、世界の主要諸国が景気刺激のために財政支出を減らし、輸入への需要が萎縮すれば、我々の輸出は打撃を受けざるを得ない。今月12日、米国では「景気低迷は終わった」という宣言が出たが、回復のテンポは緩やかだろうというのが大方の予測だ。韓国の輸出は、主力の上位5品目の割合が全体の42%を占め、米国やドイツ、中国、日本などの21〜34%に比べて過度に高く、景気が減速すれば衝撃を受けやすい。通貨危機以後、さらに高まった貿易の依存度を下げ、内需拡大策を講じなければならない。
政府の関係者は、「今年の就業者の減少幅を10〜15万人と見ているが、経済状況が好転すれば、10万人以下に抑えることができるだろう」と明らかにした。通貨危機のときとは異なり、企業の破産はそれほど多くなく、ある程度の雇用を維持することができた。しかし、今年の新たな雇用は、希望労働プロジェクトなどの公共部門が中心となっている。9月も、就業者は7万1000人増加したものの、公共部門を除いた民間部門の就業者数はむしろ減少した。雇用低迷の長期化を防ぐためには、民間投資の環境を改善するしかない。
民間部門の自主的投資という下支えがない限り、持続的な景気回復は難しい。企業の果敢かつ先導的な投資や雇用創出への努力が、切に求められる。政府は、製造業やサービス産業が、共に成長を果たすことができるよう、サービス分野における行政規制を画期的に緩和すべきだ。雇用なき成長など、さまざまな要素が重なり、景気回復後も雇用回復は容易ではない。政府は、来年の雇用情勢についても綿密な分析を行い、不安要素を減らすのに全力を上げるべきだ。失業者への再教育を活性化し、求人企業と求職者をより速やかに繋ぐなど、現場密着型のサービスも必要だ。