日本経済は昨年末から今年初頭にかけて、深刻な状況に見舞われた。世界的な経済危機を受け、交易が激減した上、円高まで加わり、価格競争力が低下したためだ。今年1月、対ドル円相場は、1995年以降14年ぶりの円高ドル安の1ドル=87円台にまで進んだ。これまで何度も円高を克服してきたトヨタ自動車やソニーなどの看板企業が、相次いで赤字へと転じた。大規模なリストラや工場稼動の中止など、危機への対策も相次いだ。
◆第2四半期以降、1ドル=100円を超え、急場をしのいだ急激な円高が再び目立ち始めている。28日は一時、1ドル=88.23円まで円高が進んだ。米国による低金利政策が続くだろうという予測がその背景になる。そのため、ドルを借りてほかの国の通貨や株に投資し、その差額を狙う「ドル・キャリー資金」があふれている。さらに、金融サミット(G20)首脳会議の共同声明に、「米国の経常収支の赤字や日本、中国の経常収支の黒字を減らす」という内容が盛り込まれたことも影響を及ぼした。
◆先日発足した鳩山由紀夫政権も、困惑を示している。藤井裕久財務相は28日、「最近の円の動きはおかしくない」と語ったが、29日は市場介入の可能性まで示唆し、急遽「鎮火」に乗り出さなければならなくなった。ただでさえ、「民主党政権は円高を容認するだろう」という見方があっただけに、鳩山首相の28日の発言は適切ではなかったという批判を受けている。数ヵ月前、さまざまな対策を発表した日本企業各社は、景気回復が確実でない現状で、再び見舞われた円高を巡り心配している。
◆海外市場で韓国と競争する製品の多い日本の円の上下は、韓国経済にも大きな影響を及ぼす。韓国経済はおおむね、円高のときは追い風を、円安のときは逆風を受けた。韓国が割合早めに経済危機から脱することができたのも、ウォン安に劣らぬほど、円高が大きく役立った。韓国企業各社は今回の円高を、輸出や市場シェアの拡大、企業体質の改善のチャンスととらえ、「ポスト円高」に備えなければならない。日本企業は、1985年のプラザ合意後、1ドル=235円から1年間で1ドル=120円台にまで激変した「歴史的な通貨価値の高騰」の局面の中でも競争力を育てた。今も、韓国企業は油断できる状況ではない。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com






