ミャンマー民主化運動の象徴であり、ノーベル平和賞受賞者のアウンサン・スーチー氏(64)が、再び1年6ヵ月の自宅軟禁を受けることになった。ミャンマーの特別法廷が11日、自宅軟禁規定違反の容疑で起訴されたスーチー氏に、懲役3年と強制労働を言い渡した直後、軍政最高指導者のタンシュエ国家平和発展評議会議長が、量刑を1年6ヵ月に減刑し、刑務所収監の代わりに自宅軟禁にするよう命じたと、AP通信が報じた。
タンシュエ議長は、内務長官が法廷で読み上げた減刑決定文で、「ミャンマーの平和を維持するために減刑する。スーチー氏が、ミャンマー独立の英雄であるアウンサン将軍の娘であることも配慮した」と明らかにした。ミャンマー軍政がこのように減刑したのは、スーチー氏が来年実施される総選挙に参加できないよう阻止しながらも「寛大な」姿を示すことで、国内外の圧力と不満を最小化するための措置と見える。スーチー氏の家に侵入した米国人のジョン・イエタウ被告(53)には、懲役7年の実刑が言い渡された。
裁判が終わった後、スーチー氏は法廷を訪れた外交官に感謝の意を伝え、「ミャンマーの平和と繁栄のために、ともに働けることを願う」と話した。自宅軟禁命令によって、スーチー氏は同日、ヤンゴンの自宅に戻った。
今年5月初め、イエタウ被告がスーチー氏の自宅に侵入する事件が発生すると、ミャンマー軍政は同月14日にスーチー氏を逮捕し、ヤンゴン郊外にある政治犯収容所のインセイン刑務所に収監して、刑務所内に特別法廷を設けて裁判を行なってきた。スーチー氏が、88年の民主化運動にとび込んで以降、軍事政権は3度にわたって、約14年間、スーチー氏を軟禁した。
ニューヨークタイムズは、裁判が終わった後、「今回の裁判は、来年に実施される総選挙までスーチー氏を軟禁しようとするミャンマー軍政の計略だ」と報じた。英国のブラウン首相は、判決の知らせを聞いて、「悲しく憤りを覚える。この裁判は完全に政治裁判であり、まやかしにすぎない」と述べた。欧州連合(EU)は、ミャンマーに制裁措置を実施することを明らかにした。マレーシア政府は、東南アジア諸国連合(ASEAN)が緊急会談を開き、今回の事態を話し合うべきだと主張した。
ミャンマー軍事政権は、スーチー氏が率いる民主民族同盟(NLD)が、90年5月に実施された総選挙で495議席のうち392議席を占める圧勝をおさめると、選挙無効を宣言してスーチー氏を自宅に軟禁した。このような「痛恨の経験」をした軍政は、スーチー氏を軟禁しなければ、20年ぶりに実施される来年の総選挙で勝利が難しいと考えている。
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