●政府の景気対策が急激な下落を阻止
第1四半期の成長率が、前期より小幅だがプラスに転じたのには、政府の積極的な景気対策の效果が大きい。部門別に見ると、設備投資は、第1四半期にマイナス9.6%となり、昨年の第4四半期(マイナス14.2%)に続き低迷し、製造業も3.2%減少した。しかし、政府消費は、前期より3.6%増え、建設投資は5.3%増加した。建設業も、土木建設を中心に6.1%も増加した。崔春新(チェ・チュンシン)韓銀経済統計局長は、「政府が予算を早期に執行し、社会間接資本(SOC)建設予算を昨年より16%も増やすなど、大規模な建設投資をした效果が大きかった」と説明した。
サービス業と民間消費も、小幅だがプラスに転じた。崔局長は、「サービス業では、株価上昇によって金融業の成果が良く、中小企業の融資と保証を増やしたことが、景気の墜落を阻止した」と指摘した。権純旴(クォン・スンウ)三星(サムソン)経済研究所マクロ経済室長は、「今はパニック状態に陥った民間部門が自力で立ち上がることが困難な状況だ。このような時に、政府が景気対策の引き金を引いたことが、望ましい效果を生んだ」と分析した。
●「底を過ぎても体感は難しい」
第1四半期の成長率がプラスとなり、「景気の底」がいつ頃なのかに関心が高まっている。景気循環論による景気の底は、景気が低迷を脱して回復する直前の時点で、正確な判断は一般的に2、3年が経過した後、「事後的」にのみ可能だ。
韓銀は、潜在成長率を底を判断する基準と考えている。崔局長は、「第1四半期のGDPがプラスに転じたことで、一部では、景気の底の信号だと解釈しているが、昨年の第2四半期以降の収縮局面が続いていると考える」と分析した。そして、「前期対比のGDP成長率が、潜在成長率の水準になれば、景気の底だと判断できる。韓国の潜在成長率を4%内外と見た時、1半期の成長率(前期対比)が1%ほどになれば、その直前の半期を底と見なければならない」と説明した。
金在天(キム・ジェチョン)韓銀調査局長は、「景気の底が、今年下半期となる可能性はあるが、回復の速度がかなり遅く、経済の主体が肌で感じることは難しい。底が大きな意味を持つことが難しい状況だ」と語った。韓銀が見通したとおり、来年に約3.5%の成長が実現すれば、潜在成長率には若干及ばないものの、今年下半期を底と見ることが可能という意味だ。
このように、韓銀が景気底論を警戒する理由は、景気に対する判断が、韓銀の通貨政策と直結するためだ。韓銀関係者は、「景気の底が確実なら、韓銀が流動性の回収に乗り出さなければならないが、まだその時ではない。当分の間、流動性緩和の基調が続くだろう」と強調した。
●どのように回復するかがより重要
多くの民間の専門家も、景気が底を打っても、韓国経済が本格的に回復するまでには、かなりの時間がかかると説明する。国際通貨基金(IMF)は最近、韓国の来年の成長率の展望値を、従来の4%から1.5%に下方修正した。権純旴室長は、「依然として、国際金融市場のあちこちに不安要因が散らばっており、安心する段階ではない。現在、韓国経済は底を確認していく過程であり、『底が正確にいつか』よりも『景気がどのように回復するか』がより重要だ」と述べた。回復するまで時間がかかる「底が広いU字型」または「L字型」長期低迷に備える必要があるということだ。
今後の産業全般に対する構造調整が、強力に進められる場合、雇用が悪化し、消費が萎縮し、韓国経済が再び下落傾向に転じる可能性もある。いわゆる「ダブル・ディップ(double dip)」に対する警戒だ。宋泰政(ソン・テジョン)ウリィ金融持株首席研究員は、「第2四半期まで、前期に比べてプラスの成長率が出ても、再び景気が急落する可能性を排除できない。一時的な政府支出による『モルヒネ效果』がありうるので、少なくとも第3四半期まで成長率を見守って、今後の景気を予想することができる」と強調した。
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