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「多文化」が競争力の時代、しかし韓国は…

「多文化」が競争力の時代、しかし韓国は…

Posted April. 08, 2009 06:10,   

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インド仏像や中国の絵画、南米の楽器、ロシア人形、ネパールの伝統衣装…。世界各国の風物が一堂にあつまり、一目にできるところ、それはほかならぬ米ニューヨークのフリー・マーケットである。

先月28日、マンハッタン・ミッドタウンで開かれたフリー・マーケットを訪ねてみた。それぞれ異なる国の色彩を帯びた品々で、200メートルそこそこのマンハッタン通りは、多彩な風物通りと化した。ネパール人のラムさん(37)が、ネパールの伝統帽子を手渡した。帽子を受け取った人は、黄色い肌色のアジア系ニューヨーカーである。それぞれ国籍の異なる品々、白人や黒人、ヒスパニックからアジア、中東出身者まで、さまざまな肌の色の商人や客たち。それこそ十人十色のフリー・マーケットは、週末ともなれば、マンハッタンのいたるところで開かれる日常風景である。

●超大国を率いる多文化の力

米社会は、ヒスパニックやアジア系などの少数人種が全人口の33.7%にも上る多民族、多文化社会である。人種間の対立を最小限に止めるため、相互の文化を理解し合おうとする米国人の努力は、小学校の教育から始まる。先月27日、ニュージャージー州ノースヴェール・タウン内のトーマス・ジェファーソン小学校では1年生を対象に「インターナショナル・デー」イベントを開いた。同日、10ヵ国出身の保護者らは自国の文化や風習をPRするブースを設け、生徒らはブースを回りながら、友人らが生まれた国の文化について学んだ。韓国ブースでは、韓国の伝統衣装「チマ・チョゴリ」や伝統的な礼儀作法が紹介された。保護者らは、「毎年、イベントが行われているが、子供らは自然に『多様性』を身につけるチャンスでもある」と口をそろえた。

これこそ米国の力である。さまざまな人種や多文化の力は、強力な軍事力や経済力などはもとより、ソフト・パワーにおいてまで発揮される。昨年、三星(サムスン)経済研究所が発表した「米国においての少数人種の影響力の拡大」と題した報告書によると、少数人種は米経済の高成長や物価安に貢献したという分析が出ている。人口の増加を主導した移民労働力は、米国の平均賃金を3%引き下げた一方、国内総生産(GDP)は拡大させた。特に、理工系では博士号の労働者の41%を外国人が占めるほど、外国人は生産性に貢献している。

●多文化の文化や経済パワー

「トンブ・ラ・ネジュー(Tombe la neige=雪が降る)〜」という歌詞で始まるフランスの代表的なシャンソン。この歌を歌ったサルヴァトール・アダモは、フランスではなくイタリア出身だ。フランス固有の大衆文化であるシャンソンを歌った歌手の中には移民者出身が少なくない。フランスのサッカー代表チームにも、とりわけ有色人種が多い。06年ワールドカップに出場した国家代表チームのメンバー23人中、本土人はわずか6人だった。ほかの選手は移民2世であったり、有色人種だった。このようにシャンソンやサッカーは、フランス移民社会の象徴である。

フランスは長い移民の歴史を通じて、さまざまな人種を吸収しながら、各民族の文化も同様にフランス文化という溶鉱炉の中に溶け込ませた。文化評論家の金フィリン氏は、「フランスは肌色や国籍を問わず、価値さえあれば自国文化へと取り入れ、商品化することにずば抜けている」と評した。実際、スペイン出身のパブロ・ピカソはフランス人画家として、より有名であり、米作家のアーネスト・ヘミングウェイも、「フランスの知性」と称えられた。ヘミングウェイが当時の文人らと出入りしたパリ市内の本屋やカフェは、代表的な観光地となっている。

最近浮上している国際都市、中国上海は東アジアの経済ハブとして猛スピードで浮上している。西江(ソガン)大学中国学科の李ウクヨン教授は、「上海の原動力は開放化した混種文化だ」と診断した。殖民歴史の産物として各国出身が入り混じって暮らしている上、生まれつき、開放的な特性が混種文化を生んだ。

その象徴的な空間は新天地。細長く並んでいる赤レンガの建物は、上海の伝統的な様式をそのまま活かしているが、内部は現代的である。伝統的な喫茶店や工芸品店、ドイツのビール・バーやスターバックス・コーヒー売場が混在された空間を、白人や黒人、アジア人が埋め尽くしている。

●国際都市の競争力に注目すべき

韓国では今、全人口の2%に上る100万人以上の外国人が住んでいる。しかし、グローバル化の成績は下がる傾向を示している。グローバル経営コンサルティング会社「ATカーニー」が米政治外交専門誌「フォーリン・ポリシー」と共に、毎年発表するグローバル指数によると、07年現在の韓国のグローバル化水準は72ヵ国のうち35位だった。03年の28位より7ランクも下がったのである。ATカーニー・コリアのチャン・ニョンフン・コンサルタントは「貿易の割合や海外への直接投資の比重、旅行収支など12の変数を、4つの領域に分けて評価するが、韓国は優位を示していた通信インフラでは他の国とのギャップが減っている上、海外への直接投資などは減少しており、グローバル点数は引き続き下がっている」と話した。

このような現状の中、世界的な国際都市の存在感は、我々に示唆するところが大きい。ATカーニーの「2008、グローバル都市の指数」において、上海は評価対象60都市のうちわずか20位だったが、ビジネス活動の部門では8位に上昇した。実利を重んじる上海の気質が、開放的な文化空間を作り、そのような文化が外国資本が流入できる環境を作っているという分析である。

「トレランス(寛容)」という話題を投げかけた『僕はパリのタクシー運転手』の著者、ホン・セファ氏は、「差別を許さないフランスでも、移民2世や3世らによる暴力沙汰が起きた。我々の多文化家庭の子供らは全身で差別を感じながら育っている。彼らが青年へと成長すれば、我々の状況はさらに深刻になるだろう」と、多文化社会に向けた準備を強調した。



fineday@donga.com higgledy@donga.com