最近、世界各国は、「租税回避国との戦い」の最中である。ドイツは昨年2月から、リヒテンシュタインのLGT銀行に秘密口座を作った自国民に対して捜査を行っている。米国は昨年夏、「スイスのUBS銀行に、計180億ドル(約25兆2000億ウォン)に迫る米国人の資産が隠されている」というカール・レービン民主党上院議員の暴露が出た後、UBS銀行に働きかけて、250人あまりのリストを受け取ったのに続き、5万2000人のリストを追加で渡すよう、要求している。4月2日から英ロンドンで開かれる金融サミット(G20)の首脳会議の場でも、租税回避国に対する監視や透明性の強化対策が議論される予定だ。
◆租税回避国とは、法人税や所得税に対して全く税金を課さなかったり、非常に低い税率を適用する代わり、口座の維持や法人設立の手数料を受け取る国家や地域を指す言葉である。カリブ海のバハマ・バミューダ諸島やカイマン諸島、欧州のリヒテンシュタインやスイス、モナコ、アンドラ、マレーシアのラブアン島が代表的だ。租税回避国は税金面での優遇のみならず、外国為替の管理規制が少なく、金融取引の匿名性が保障され、脱税や「ブラック資金の洗浄」の温床として取り上げられている。これまで、世界経済を混乱に陥れ、今回のグローバル経済危機に対する責任も少なくないヘッジ・ファンドの書類上の本社もほとんどが租税回避国にある。
◆このような租税回避国を利用した韓国人らが摘発された。カイマン諸島などの租税回避国に書類上でのみ存在するダミー会社を設立し、裏資金を造成して税金逃れを行った企業の代表や高額資産家45人が、国税庁によって捕まった。彼らは当局の追跡を避けるため、税金逃れの所得を外国人名義を使って、租税回避国に隠して管理するなどの巧妙な手口を使ったことが明らかになった。租税回避国に金を隠した後、外国人が投資するかのように見せかけて、韓国に再び送金しては不動産を購入した人もいる。
◆経済が厳しければ、人々の心は荒れやすい。こんな時こそ、「富裕層」が節制や金道を忘れることになれば、階層同士の対立や社会的な不安をあおりかねないことを忘れてはならない。政府や裁判所も、海外の租税回避国を利用した資金流用や脱税に対して、法的・経済的な責任を厳しく問うべきである。悪質的な経済犯罪に甘いのが、「経営しやすい国」ではない。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com