「鉄馬は走りたい」
京元線(ソウル〜元山)最北端の京畿道漣川郡(キョンギド・ヨンチョングン)の新炭里(シンタンリ)駅にある鉄道中断点の表記。
南北間に緊張感が高まっているが、新炭里駅のこの表記周辺には、統一の夢を乗せた京元線復元工事が真っ盛りだ。
17日にここを訪れた時、まず地雷の危険を知らせる案内板がかけられ、周辺より10メートル高くする露盤工事が行われていた。復元工事区間の核心であるトンネルでは、重装備が轟音を出し、岩盤層を突き破り、白いほこりが立ちこめた。
京元線は1914年に、ソウル龍山(ヨンサン)から咸鏡南道(ハムギョンナムド)元山まで開通されたが、1953年の休戦直後から韓国の新炭里駅を中断し、その後、北朝鮮区間は、旧線路の跡すら見当たらない状況だ。
南北をつないでいた京元線が、断ち切られ55年後の昨年9月から、北朝鮮に向かう線路復元工事が始まった。工事区間は、新炭里駅から江原道鉄原郡(カンウォンド・チョルウォングン)鉄原邑大馬里(テマリ)まで5.6キロ区間。大馬里から民間人統制線までは1キロ、軍事境界線まで直線で約5キロの距離だ。
比較的短い区間だが、トンネル3ヵ所と18の橋が含まれており、平地よりも難しい工事だ。現在、工程は13%。
ユルイジェ第1トンネル(455メートル)は現在、200メートルが掘削され、トンネルの姿を呈している。ここを過ぎると、京元線区間で唯一、以前の姿が壊れた橋梁が見えた。
工事現場近くで、逆三角形の模様の地雷警告板が目についた。これまで工事の途中で、対戦車地雷4発と対人地雷3発、高爆弾1発が発見された。
施工会社であるヨジン建設産業の金ヨンジュン所長は、「熾烈な南北対峙を示すように、工事中に、爆発物がしばしば発見され、常に緊張しなければならない」と語った。
ここに駐留中の陸軍戦力部隊の作戦のため、最短直線路線を選ぶことができず、迂回したり露盤の高さを調整するという困難もある。
復元工事区間を少し過ぎ、民間人統制線の向こうに入っていくと、京元線とつながる金剛山(クムガンサン)線の路線の一部が目に入った。韓国戦争前までは、金剛山へ行くには、京元線鉄原駅で金剛山線に乗り換えなければならなかった。
現在、陸路の観光路が開設されているが、途切れた金剛山線がよみがえれば、観光客が増えるだけでなく、南北関係が改善されると、現場関係者は期待した。しかし、金剛山線の周辺地域は、南北いずれも軍事的要衝地なので、両側を通る鉄道を修復することは、しばらく容易ではなさそうだ。
今回の延長復元区間は、人口が少ないうえ、物流量も多くない地域であるため、来年末に工事が終わっても、実際に列車が運行するかどうかは、未知数だ。それでも、鉄道を延長することは、経済性よりも、統一時代に備えるための希望の象徴だ。
工事が完工される場合、「鉄馬が走りたい」という表記は、北朝鮮に移される。それだけ、統一の夢が近づくのだ。
金所長の希望は一つだ。
「南北が意志を一つにし、京元線の復元が本格化し、1日も早く北朝鮮の路線とつながり、その後、京元線がシベリア大陸横断鉄道と連結し、大陸に伸びていくことができれば、実に喜ばしい」
argus@donga.com