Go to contents

[オピニオン]座り込んだ牛

Posted February. 10, 2009 09:23,   

한국어

昨年、全国を混乱に陥れたMBCの「PD手帳」で最も衝撃的だったのは、屠畜業者が座り込んだ牛(downer cow)を無理やり立ち上がらせようとするシーン。このシーンは、米国の動物保護団体が動物虐待を告発するため撮影した動画だったが、「PD手帳」ではこの場面を放送し、座り込んだ牛を「狂牛病(BSE)にかかった牛」と説明し、ろうそくデモの引き金となった。PD手帳は放送後、司会者の単なるミスと釈明したが、ダウナー牛の動画の後遺症は、膨大なものだった。

◆牛が座り込む原因は、50種類あまりに上る。人が直立できないことにも骨折や関節炎、脳疾患のような数多くの要因があるように、牛も同様である。片足や後ろ足を前方に伸ばせば股関節の脱臼であり、四肢を曲げれば閉鎖神経麻痺と推定される。牛が座り込む時、よく疑われる原因はカルシウム不足である。乳牛は牛乳を生産し、何度か子牛を生むので、カルシウムが足りず、このようが現象を起こしやすい。12ヵ月以上の乳牛からダウナー牛が、発生する可能性は1.1%だという。

◆昨年6月から最近まで、韓国内でダウナー牛41頭を食用として使用したことが明らかになった。MBC「PD手帳」の昨年4月の放送内容の通りなら、41頭の「狂牛病の牛」が出現したことになる。座り込む牛を狂牛病にかかった牛と主張するのは、座り込んでいる人を「人間狂牛病」による変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者と診断するのと同様である。だからといって、ダウナー牛が食用として安全だという意味ではない。ダウナー牛は、人と動物に共通するブルッセラ病にかかった可能性もある。狂牛病にかかった牛の典型的な症状も、座り込むことである。いずれにせよ、原因不明で座り込んだ牛肉は、食卓にあってはいけない。

◆悪徳業者らは、全国の畜産農家から座り込んだ牛を安価で買い付け、ほかの牛のブルッセラ検査証明書を貼った後、屠殺し、市場に流出させた。食べ物を利用した悪徳業者らのずうずうしさも悪いが、ずさんな管理体系も問題である。怪我や難産、産褥麻痺、急性鼓脹症で座り込んだ牛の場合、獣医の立会いの下、屠畜場ではなく、農場でも屠畜できるようになっている制度上、盲点も残っている。昨年、米国産牛肉を巡り、巻き起こった大騒ぎを思えば、我々はやはり鍋体質のようだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com