丁世均(チョン・セギュン)民主党代表は一時、「経済と企業の分かる政治家」と評されてきた。丁代表は双龍(サンヨン)グループで17年間も勤め、実体経済にも詳しい。経済分野の国会常任委員会で多大な活動を行い、産業資源部長官も経験した。運動家流の闘争や政治工学には慣れていたが国政運営においては落第点がつけられていた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の関係者の中では稀に、合理主義者という印象も与えた。
◆丁代表は昨日の新年記者会見で、「2月の国会を『MB(李明博大統領)悪法の国会』にせず、『雇用創出の国会』に仕上げよう」とし、「焦点法案の処理を放棄し、経済再生に全力を傾けよう」と呼びかけた。それなのに龍山(ヨンサン)での惨事を、「国家権力による暴力」と決め付けるなど、政治的な攻勢は少しも緩めなかった。いくら野党とはいえ、やり方がひどすぎる。あれだけ経済を意識している人が、暴力国会や場外闘争により国をこのような有様にしてしまったのか。「知っている人だからこそ、さらに怖い」という言葉が全く的を射ている。
◆今にも崩れそうな世界的な危機でも、民主党は国民生活と経済に関心すら示していない。財界が、産業競争力の強化や雇用創出に有効と訴えているメディア関連法案や出資総額制限制度の廃止法案、「金融と産業の分離緩和法案」を、「財閥法案」や「MB悪法」とレッテルを貼り、反企業情緒をあおっているのではないか。ハンマーや電動ノコギリまで動員した国会暴力により、国は大恥じをかき、対外信頼度に悪影響を与えたのは一体誰だと言うのだ。かりそめにも公党というものが、ともすれば国会を投げ捨てて街頭へ走り、一握りの北朝鮮寄りの左派勢力と連携したではないか。
◆民主党が本気で経済を懸念するなら、方法はある。元大統領など歴代政権の実力者らが、理由をつけ手にした金のうち、政治資金として使わず国内外に個人的に隠している財産を調査する「権力型不正蓄財真相究明の特別委員会」を立ち上げればいい。ベールに覆われている「黒い資金」を国庫に取り戻し、国民支援に使えば、経済立て直しに少しは役に立つではないか。経済や国民生活を口にしながら、後ろでは私服肥やすことに余念のなかった政治家らがいるなら、彼らの「素顔」をさらけ出すのに役立ち、一石二鳥と言えるだろう。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com