米国系プライベートエクィティファンド「ローン・スタート」と辺陽浩(ビョン・ヤンホ)氏との悪縁は03年に遡る。当時、辺氏は財政経済部(現在の企画財政部)の金融政策局長の座にいて、金融機関の生殺与奪権を握っていた。行政試験の同期生のうちトップを走っていた辺氏は、この座を2年10ヶ月間守った。1990年代末の通貨危機の際も国際金融課長を務め、実務の面では辺氏を追いつける人がいなかった。金融界の内外で自然と将来の長官という言葉まで出た。当時、その座がうなぎのぼりの官僚を縛り付ける「死神」になるとは誰も気づかなかった。
◆05年、金融情報分析院長(1級)を最後に公職から離れたが、翌年6月、最高検察庁中央捜査部に緊急逮捕され、茨の道の運命が始まった。辺氏は、金融政策局長時代、外換(ウェファン)銀行をローン・スターに安価で売却するのに中核的な役割を果たした容疑がもたれた。同事件は、国際金融界の注目を集めた。検察と裁判所は逮捕状の請求と棄却を交互に繰り返す「ピンポン・ゲーム」を行った。両機関のプライドをかけた対決は、最高裁判所長官と検察長官の揉め事にまで飛び火した。
◆辺氏は2つの容疑で起訴された。外換銀行の安価での売却(背任)容疑や現代(ヒョンデ)自動車・系列会社の債務帳消しの見返りとして2億ウォンを受け取った容疑である。全く別の事案だが、検察はローン・スター事件の捜査のための前奏曲として、辺氏を現代車を巡る収賄の容疑で先に逮捕した。いわば、「別件捜査」である。今回、最高裁が現代車事件と関連して、懲役5年及び追徴金1億5000万ウォンを言い渡したソウル高裁の判決を破棄して差し戻したことは、小枝に過ぎない。外換銀行の安価での売却事件では、昨年11月の1審でひとまず、無罪判決を受けた状態である。
◆最高裁は現代車事件で、「賄賂を渡したというロビイストの供述を合理的に疑わず十分信用できる証拠がない」として、ソウル高裁の判決を退けた。新しい証拠の出ない限り、最高裁の判決はそのまま確定される可能性が高い。しかし、収賄容疑はローン・スター事件の本質である安価での売却とは無縁である。辺氏は、「私から見た最高検察庁中央捜査部」という未完の原稿で、「最高検察庁中央捜査部では必ずしも真実だけを追究しているわけではないことを体験した」と書いた。最高裁で判定負けされた最高検察庁中央捜査部がどう対応するか気になる。
陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com






