中国指導部の前に横たわっている課題は、以前とは違い「質的な問題」を解決しなければならないという点で、過去とは異なるアプローチが必要だ。
●2020年までに暮らしの問題を解決
「温飽」目標(人々の衣食住が基本的に充足)は、90年にすでに実現した。「小康」段階(衣食住が足りた次の段階、多少は豊かさを実感できる段階)のうち、一部地域で偏りはあるが、基本的な欲求が解決される「1段階小康」も、00年を基点に達成された。全人民が暮らせるだけの「全面的な小康(1人当たりの所得が約5000ドル)」段階は、2020年までに実現させる予定だ。
基本的な現代化が完了する21世紀中盤には、多くの人民が比較的富裕な生活ができる。しかし、中国の現代化の過程は、これで終わるわけではない。21世紀半ばになっても、中国の生活水準は依然として先進国と差があり、その後も、持続的な前進が必要だというのが、中国指導部の判断だ。
●厄介な政治改革
中国の改革開放は、経済部門がまず道を開いた。経済改革は、すでに量的成長を経て、質的成長に跳躍する段階だが、政治改革は依然として足踏み状態だ。
政治改革は、頳小平がかつて経済改革とともに強調した事案だ。胡錦涛国家主席をはじめとする現指導部も、政治改革と民主化の必要性は認めている。しかし、まだ具体的な青写真は作られていない。
このような中、学者らの間では最近、政治改革の方向を巡り、論議が加熱している。多くの学者は、改革開放を支持する。支持する学者らは、大きく3つに分類される。
謝韜・前人民大学副総長らは、スウェーデンのような社会民主主義を理想社会と考える。しかし、多くの学者らは、私有財産制と市場経済は認めるが、個人よりも共同体の利益を重視する西ヨーロッパモデルを支持する。田紀雲元副首相のように、米国モデルを好む学者もいる。
学者らは、どの方向を選んでも、現在のような「政府万能主義」と「党が国家よりも優位にある」政治システムは変わらなければならないと考えている。また、学者らは、政府行政の透明化と人民大衆の政治参加を先決課題に挙げている。
しかし、中国指導部は、改革開放30周年に臨み、「中断のない改革開放」を強調しながらも、具体的な政治改革の方案には言及していない。政治改革が、早期に実現しないことを示唆する内容だ。
●社会セーフティネットの構築が至急
政治改革とともに、中国の改革開放の二大課題に挙げられるのが、まさに社会改革だ。このうち代表的な問題は、介護、医療、失業、労災保険などの社会セーフティネットだ。
現在、大都市を中心にした社会セーフティネットは、ある程度整った。昨年末現在、都市の介護保険および医療保険の加入者は、それぞれ2億137万人と2億2311万人で、昨年末の全体都市労働者2億9350万人の70%にのぼる。
しかし、農村地域は、状況が大きく異なる。介護保険加入者は5171万人で、全体農村人口7億2750万人の7%にすぎない。医療保険加入者も、3131万人(農民の4.3%)だ。病気にかかった農民が、病院に行かずに我慢し病気を悪化させるのもこのためだ。
所得格差の解消も至急の課題だ。中国の経済雑誌「財経」が最近報じた資料によると、昨年の中国の上位10%の所得は、下位10%の所得の約55倍だった。中国政府の公式統計の21倍を上回る。
都市と農村の格差もひどい。昨年、農村住民の純収入は4140元(約80万ウォン)で、都市住民の仮処分所得1万3786元(約267万ウォン)の30%だった。
地域格差も深刻で昨年、甘肅省の住民1人当たりの国内総生産(GDP)は6835元で、6万5347元の上海の10.5%にすぎない。
●指導部、「健全で速い成長」を強調
中国は昨年、1兆2180億ドルを輸出し、ドイツに続き世界2位を占めた。しかし、このうち先端技術製品は3478億ドルで、全体の28.5%にすぎなかった。そのほかは、賃加工製品が大半だ。
昨年、中国は、石炭を基準に26億5583億トンのエネルギーを使用した。これは、全世界のエネルギー消費量の16.8%だ。しかし、昨年の中国の国内総生産(GDP)は、全世界の6%にすぎない。結局、世界平均の3倍近いエネルギーを消耗したわけだ。
中国指導部も、このような問題点を周知している。最近、「又好又快(健全で速い成長)」を強調するのもこのためだ。
中国は今後も、30年間で毎年7%の高速成長を続けてこそ、先進国に接近できるが、「健全で速い」成長は、容易ではない。
中国経済体制改革研究会の袁緒程副秘書長は、「中国の改革開放が30周年を迎え、新たな圧力と挑戦に直面している。今後5年から15年が、中国の成功を分ける重要な時期になるだろう」と述べた。
orionha@donga.com






