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[社説]金ホンリョル委員長のような「狂った人」が増えれば

[社説]金ホンリョル委員長のような「狂った人」が増えれば

Posted November. 13, 2008 09:28,   

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コーロン亀尾(グミ)工場の金ホンリョル労組委員長は、今年初から会社が行なう原価節減運動の先頭に立った。会社が76億ウォンの原価節減目標を立てたが、原資材価格の高騰で、水の泡となる危機だった。「経営陣がすべきこと」と考えられる活動に金委員長が立ち上がると、組合員の間からは「狂っている」という声が上がった。金委員長は、「私一人が狂って、会社が生き延び、コーロンの家族が幸せになるなら、喜んで狂ってやる」と気にも止めなかった。彼は特別チームをつくり、廃熱リサイクルで60億ウォンを節約した。労組の出張費と会議も減らした。年間の節減予想額86億ウォンは、会社目標値を10億ウォンも上回る。

コーロン亀尾工場の労組は、化学繊維業界を代表する強力な労組だった。金委員長は04年、ストライキを主導し、「企業が生きてこそ、労組もあり、雇用もある」ということを悟った。金委員長は06年と07年、自分の賃金を凍結する代わりに、雇用保障の約束をとりつけた。

製造業の危機は、まさに雇用の危機だ。韓国は、国内総生産(GDP)に対する製造業の割合が27.8%で、日本(21%)、ドイツ(22.6%)よりも高い。強い製造業がなければ強い金融産業もない。日本が「失われた10年」から脱出するうえで、渾身の力を注いで最高製品をつくり出した製造業の労働者らの貢献が大きかった。

大統領選挙で、米国の自動車労組の絶対的支持を受けたバラク・オバマ次期大統領は、全体の製造業労働者の36%を占める自動車産業を立て直すために奔走している。オバマ氏は、労使の共生を強調し、「最高経営者が、労働者の健康保険の支援金を削減して、数百万ドルの賞与金を受け取ることもいけないが、労組指導者らも、競争で生き残らなければならないという経営者のプレッシャーに背を向けてはならない」と強調した。

失業者と非正規職があふれているにもかかわらず、またも削減の風が吹きそうだ。安定的に働ける正社員なら、それだけで幸せである。労働者の間から、金委員長のような「狂った人」がもっと多く出てこそ、企業も生き、雇用も増える。会社側も、もっと多くの労働者が、金委員長のような心になるよう、企業家精神を発揮しなければならない。労使だけでなく政府でも、金委員長のように自分を投げ出す人がもっと出てこそ、韓国経済が荒波を乗り越えることができる。