北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康状態がどれくらい深刻なのか、権力の行使は可能なのか。その情報収集に政府当局が全力を傾けている。
金総書記の健康悪化について、最も具体的に報じたAP通信は9日、米情報当局者らの話を引用し、脳卒中の可能性を伝えた。
一方、韓国の情報当局は10日、金総書記の病名が脳出血である可能性を示した。
脳卒中は、脳の血管が詰まったり、破れたりして脳に血液が行かなくなり、脳組織が壊死する神経学的な症状をいう。脳出血は、損傷した脳血管が破裂し、脳内に血がたまり、脳に影響を与える病気だ。
脳卒中には、脳出血と脳梗塞の両方が含まれるので、金総書記を直接診察した医師の診断書を入手しない限り、現在は、米国の情報当局者の話を引用したAP通信の報道と、韓国の情報当局の意見は内容的に一致しているものと思われる。
より根本的な問題は、医学的な病名ではなくて、症状の程度と、権力行使の可能性があるかどうかである。
これについて韓国の情報当局関係者は、「金総書記の症状の程度を死亡、意識不明、重傷、軽症に分けるとすれば、現在の状態は、重症である可能性が高い」と述べた。
情報当局がいう症状の程度は、金総書記が意識を保っているかどうか、他人と意思疎通ができるかどうかを基準にしている。金総書記が自分の権力を維持・行使する上で、最も重要な機能であるためだ。
この基準を適用すると、意識を失っている状態は死亡と同じく考えられる。意識があるとすれば、意思疎通ができるかどうかによって、重傷か軽症かが分けられる。
現在、金総書記は自力で歩行できないが、車椅子では移動でき、意思疎通が可能なため、「遠隔操作」で権力を行使できる状態であると政府は判断している。
複数の政府関係者は同日、「手術後、回復中であるため言葉が、まだ不自由で歩行が難しい状態であるとみている。統治に困難がなく、権力の空白といった現象も現われていない」と話している。
ただ、脳疾患の場合、完治は難しい上、再発の可能性も高いだけに「意識は保っていても、移動はできず、意思疎通もできない」重傷に悪化する可能性もある。
政府関係者は、「金総書記が66歳であることを考えると、回復にも時間がかかる上、症状が好転と悪化を繰り返すシナリオは排除できない」と話している。
北朝鮮の最高指導者である金日成(キム・イルソン)主席と金総書記は、1人独裁体制である「首領絶対主義体制」を強化すべく、「社会・政治的生命観」を強調してきた。首領は脳髄、党は心臓、人民は四肢という社会有機体論を構築し、人民が首領を離れては社会的・政治的生命を失うと強調して独裁維持に活用してきた金総書記が「脳」とその中の「血管」の病気で、苦労しているということは皮肉なことだ。
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