林采正(イム・チェジョン)国会議長と会って、韓米自由貿易協定(FTA)批准同意案の国会本会議での職権上程を要求して出てきた安商守(アン・サンス)院内代表に記者が聞く。「(国会議長になった時)もし党論と違う場合が生じると、どうするつもりか」。安代表は瞬間、戸惑った様子だった。林議長を訪問する直前、第18代国会議長の出馬を公式に宣言したからだ。
◆物悲しい場面だ。国会法は国会議長の党籍保有を禁じている。超党的で中立的に国会を運営するという意味を込めて、02年、李萬燮(イ・マンソプ)議長時代に作られた条項だ。そのような法条項を知らないはずがない記者が、「党論と違う場合」を聞いた裏面には、「どうせハンナラ党の党論に従って行動するじゃないか」という推測が隠れている。安代表が、「それは(議長に)当選してから…」と言葉を濁したのは、言うまでもなく「中立する自信」がないからなのだろうか。
◆職権上程という言葉には「ひったくり」という否定的なイメージが色濃く垂れ下がっている。過去の与党は、たびたび国会議長の職権上程の権限を利用して法案を本会議に直接上程した後、「数の力」で強引な通過を試みたりした。議長は議長席でなく、本会議場の通路の真ん中で与党議員に守られながら、法案の通過を叫ぶか、本会議場2階の記者室で票決の結果を宣布したりもした。02年、国会法に「議長は票決の結果を議長席で宣布する」とおかしな条項(113条)が新設されたのも、こうしたひったくりのためだった。
◆昨日、林議長は国会を訪問した経済5団体長らに、「FTA批准同意案を職権上程すると、討論と合意の議会精神が失われる」と述べた。しかし、林議長はそのような言葉を口にする資格を昨年、自ら放り出した。彼は李龍熙(イ・ヨンヒ)国会副議長に司会権を渡して、BBK特別検事法案の職権上程を事実上主導した。選挙途中、相手党候補の不正を突き止めると、立法権を振りかざしたのは、一言で「議会クーデター」だった。今になって林議長は、「BBKは国内問題であり、FTAとは性格がまったく違う事案」と言い訳をする。要領を得ない弁明だ。BBKのような政治的な事案こそ、政派間の合意と討論が肝心であり、FTAのように国益と直結する事案こそ議長のマクロ的な決断が求められるのではないか。
金昌爀(キム・チャンヒョク)論説委員 chang@donga.com






