米国の連邦捜査局(FBI)で1級の殺人犯として手配されたまま、10年間、韓国内で逃避生活をして、今年3月に逮捕された在米韓国人のナム・デヒョン容疑者(33)を米国に戻すようにという裁判所の決定が下された。
ソウル高等裁判所は8日、最近行われたナム容疑者に対する犯罪者引渡し審査請求訴訟で、「ナム容疑者を米国に引き渡すことを許可する」という決定を下したことを明らかにした。
ナム容疑者は、1996年8月に米国ペンシルバニア州のある住宅で泥棒していたところへ、この家に住む元警察官の白人老人を銃で撃って殺した容疑がかかっていた。
ナム容疑者は、翌年100万ドルの保釈金を払って釈放された後、1998年3月韓国に入国し、「韓国で裁判を受けられるようにしてほしい」と自首した。米国の人種差別的な捜査で、殺人事件の主犯として決め付けられ、米国で裁判を受ければ死刑を言い渡されることが決定的だからという主張だった。
当時は、韓米間の犯罪者引渡し条約が発効されておらず、韓国政府はナム容疑者を米国に送る代わりに、釈放措置をとった。ナム容疑者は、10年の間に英語講師などを勤めて逃避生活を続けたが、1999年に韓米間の犯罪者引渡し条約の締結以降、米国の犯罪者引渡し要請を受け、今年3月、京畿道光州市退村面(キョンギト・クァンジュシ・テチョンミョン)にある英会話教室で検挙された。
裁判部は、「二重国籍者であるナム容疑者が、米国で犯した犯罪が重い上、米国で起訴されている状態であるのみならず、証拠資料と証人たちがいずれも米国にいる。米国から韓国に逃れて姿をくらましたことなどからすると、犯罪者の引渡しを断るほどの決定的な要素がない」と説明した。
これに対し、ナム容疑者側は「米国との司法共助を通じ、韓国でも十分に裁判を受けられるにもかかわらず、韓国の裁判所が自国民を米国に引き渡そうとしている。これは明らかな主権放棄だ」と主張した。
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