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[社説]「薄氷の金融市場」に食い違ったシグナル

[社説]「薄氷の金融市場」に食い違ったシグナル

Posted March. 27, 2008 08:13,   

姜萬洙(カン・マンス)企画財政部長官は一昨日、「政府の経済政策の基調は成長から物価安定へと変わったという最近のメディアの報道は事実と異なる」と話した。李明博(イ・ミョンバク)大統領が先週末、国内外の経済新聞とのインタビューで、「物価の安定は成長よりも急務だ」と、物価管理を優先すると触れたことに比べれば、歴然とした差の感じられる発言だ。大統領の現実への判断や経済チームの座長の解釈がこれほど異なるなど、金融市場が乱高下するのも当然だ。各企業も経済政策がどの方向に動くが分からないという反応を示している。

これに追い討ちをかけるかのように、李成太(イ・ソンテ)韓国銀行総裁は、「最近のウォン・ドル相場は1030ウォンまで進んだが、短期的に見れば、一度天井をテストしてみたまでだ」と語り、混乱に拍車をかけた。これは、「為替相場はすでにピークに達しているので、あとは下がるだけだ」という意味に解釈され、為替相場は6年11日月ぶりの最大幅となる20ウォン以上も急落(ウォン高)する結果を生んだ。同日、姜長官は輸出拡大のため、ウォン安が望ましいという趣旨で話をした。韓国経済の司令部から、相互に異なるシグナルを送り出し、市場を混乱に陥れれば、その負担はそのまま企業や投資家に回ることになる。

通貨危機以降、「失われた10年」を経て、基礎体力の弱まった韓国経済は、成長を通じての雇用創出と、庶民生活に直結する物価のうち、どちらも簡単に放棄できない立場に置かれている。だから、7%成長や物価の安定という狭間で、はっきりした優先順位を決めるのは難しいという姜長官の説明は間違っていない。しかし、経済状況や今後の方向についての政府レベルの発言は、経済主体の反応までも予想し、極めて抑制された言葉で行われるべきだ。

にもかかわらず、姜長官と李総裁はさまざまな悪材料で、ただでさえ脆弱な金融市場の安定に力を合わせるところか、金利や為替政策の主導権争いにのみ気を取られている様子だ。新政府の発足を前後として、世界的なドル安のなかで、唯一ウォン安ばかりが進み、これを受けて株価の下げ幅が広がったのは、市場参加者たちを相手に高度の頭脳ゲームを繰り広げなければならない経済官僚たちの相次いだ軽率な発言で、次の手を自ら見せてしまうミスを犯した責も大きい。