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[オピニオン]人事、請託と推薦の違い

Posted March. 04, 2008 03:00,   

中国の戦国時代に趙の宰相を務めた平原君には、食客(貴族たちに主人を助ける代わりに客として遇して養われていた人物)が数千人いた。大国の秦が侵略してくると、食客の中から文武に優れた20人を選んで、楚の支援を要請しにいくことにした。19人は選び出されたが、あと1人が決まらなかった。毛遂という人が名乗り出た。平原君は、「優れた人物は袋の中の錐のようなもので、錐の穂先が外に突き出るものだ。あなたは私の家に3年もいたが、才能を現わさなかった」と言った。毛遂は、「私を袋の中にお入れにならなかったからです」と答えた。

◆平原君が毛遂を連れていき、同盟外交に成功した後からは、「優れた人材」は「嚢中之錐(のうちゅうのきり=才能のある人は、凡人の中にあっても自然にその真価が現れるもの)」と呼ばれた。世宗(セジョン)大王の時、黄喜政丞は、逆に自分を「承乏(才能のない人が官職に就いている)」と卑下して辞任しようとしたが、王の許可は得られなかった。そうかと思えば、唐の徳宗が内乱を逃れている時、ある百姓から果物を受けたことから、彼に官職を与えようとしたが、言官である陸贄の諌言で志を果たすことができなかった。

◆公職社会であれ企業であれ、隠れた人材を見つけ出すことは容易ではない。最適任者を選ぶことさえできれば、自薦他薦を問う理由はない。人事こそ万事だからだ。自薦も人才発掘に役に立つこともあるが、自ら適任者と言って出てくる人は、ひとまず警戒して見ることだ。背後でコネや賄賂まで利用する人ならなおさらだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は就任当初、「人事請託をすれば、身を滅ぼすことになる」と大口をたたいたが、5年間そんな例は聞いたことがなかった。

◆正常な手続きによる人事推薦と、不正な方法による人事請託は区別される。農協が職員人事を行うのを前に、外部にコネを持つ請託者110人に警告状を送ったという。該当者は、当分の間人事に不利益を被ることになりそうだ。根深い人事請託の悪弊が、その程度で消えるかは疑問だが、その意志は評価に値する。李明博(イ・ミョンバク)政府は、初の内閣人事ですでに3人の長官候補を失った。人事システムが故障すれば、万事が狂うという高価な教訓だ。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com