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[オピニオン]心理治療

Posted February. 27, 2008 08:16,   

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「自我」を表層と深層に分けて概念化した人が哲学者のベルクソンだ。「表層自我」は自分の欲望や外部の視線によって、その時その都度、作られる自我だ。私たちが他人の「人格」、「性格」、「人柄」について話す時に、大体の場合、それはいくつかの顕著な表層自我をまとめて印象的に判断したことに過ぎない。これに比べて他人の視線が行き届かないところで絶えず変化する真実の自我がある。まさに深層自我だ。

◆深層自我はよく「人の心の中は分かりにくい」といわれる「その心の中」のことだ。他人に見せるためにオーダーメイドした商品のように、その時その時に作られた自我ではなく、存在の深いところから自ら湧き出る自我だ。表層自我は単純だが、いろいろな欲望の複雑な柄と多様な感性の衝動が混じっている深層自我は実に複雑だ。言葉や行動だけで人のことをよく知ることができない理由は、まさに深層自我のためだ。

◆最高裁判所が過激なデモを起こした農民に対して、有罪判決とともに心理治療の講義を受けなさいという判決を下した。人間を表と裏に分けて治めなければならないという認識に基づいた判決だと思われる。表に現われた行動は法の領域で治めることができるが、「心の中」を直さなければまったく同じ行動が再発する可能性があるのだ。「韓米FTA反対」という名分を掲げて鉄パイプや角材で機動隊を殴り、道庁の垣を崩した農民の行動は「興奮や衝動をコントロールするマインドコントロール能力の問題」だと裁判所は、その判決理由で述べた。

◆弱者保護やヒューマニズムを装って横行する言語の中を見ると、他人に対する憎悪心に満ちている場合がある。このような憎悪心が統制力を失い、他人の自由と権利を侵害する時は、心のルートを追跡する心理治療が求められる。問題は本人自ら「患者」であるのだということを知ることが難しい点だ。心が地獄なら人生も地獄であり、心が天国なら人生も天国だ。「憎しみ」や憎悪には普段より多くのエネルギーが消耗される。そして生活に注がれるべき健全なエネルギーを減らし、精神の健康が害されると医師らは警告している。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com