Go to contents

「韓国版ゴールドマンソックス」問題は金でなく人材

「韓国版ゴールドマンソックス」問題は金でなく人材

Posted January. 16, 2008 07:26,   

「資本金50兆ウォン規模の『恐竜』は、『韓国版ゴールドマンソックス』として、はたして成功できるだろうか」。政府が保有する金融会社を1つにまとめ、「韓国産」グローバル投資銀行(IB)へと育成しようとする案について、その実現可能性についての議論が高まっている。

「産業銀行民営化」でスタートしたIB育成案は、産業銀行と大宇(テウ)証券を1つにまとめた、資本金約20兆ウォンのスーパー金融会社から、最近はこれに企業(キオブ)銀行とウリィ銀行を追加した49兆ウォン規模の「ウルトラ級」へと拡大した。最初から、世界トップのゴールドマンソックス(391億ドル)より「規模」を拡大することで、グローバル競争力をそなえさせるためだ。しかし、これに対するIB専門家たちの反応は芳しくない。専門人材や先進的な金融手法、ネットワーク、評判など、グローバルIBになるための先決条件を備えなければ、膨大な「授業料」だけを払わされる羽目になるだろうという指摘が多い。「政府にIB業務を担当できる専門人材が果たしているだろうか」ということに意見が集約された。

●「規模はトップ、『マンパワー』は42位?」

スイス国際経営開発研究院(IMD)が最近まとめた、「07年国家競争力に関する報告書」によると、韓国の金融人材の採用水準は61ヵ国中42位に止まっている。

金融人材ネットワークセンターによれば、06年末、国内証券会社10社のIB部門の人材は約1230人のレベルで、ゴールドマンソックスやメリルリンチの10分の1にも満たない。

最近、黄健豪(ファン・ゴンホ)証券業協会長が、「毎年30億ウォンを投資し、金融人材を育成する」と明らかにしたことも、このような背景からだ。

このような現実は、急成長を遂げる国内企業の買収合併(M&A)市場でもはっきり現れている。

●証券会社のIB人材はゴールドマンソックスの10分の1にすぎず

グローバル金融情報会社「トムソンフィナンシャル」によれば、昨年、国内M&A市場の取引規模(発表基準)は737億ドルで、06年(414億ドル)に比べ78%急増した。しかし、1〜10位の諮問会社はすべて外国系で、規模では636億ドル(86%)に達している。

柳相浩(ユ・サンホ)韓国投資証券社長は、「グローバルIBになれるかどうかは、誰がその組織を率いるかにかかっている」とし、「グローバル会社と競争できる人材確保は容易なことではない」と指摘した。規模ばかり拡大した「大きくて頭の悪い恐竜」が誕生するというわけだ。

●情報や人脈、先進的な金融手法なども不足

外国系が長い間築いてきたネットワークや評判を手にするまでは、相当時間がかかるだろうという指摘も出ている。

斗山(トゥサン)が昨年成功した国内最大規模の海外企業のM&Aは、諮問会社だった、「シティグローバル」が先に、買収の意向を打診してきたのをきっかけに始まった。シティでは、自社の情報ネットワークを利用して、斗山が数年前に、非公開で米国の「ボブキャット」の買収を推進して失敗し、当時、この会社が売り物として出たことを確認した。

国内企業の海外からの資金調達において、国内証券会社の立場が小さいのも同じ理由からだ。

●ネットワーク信用度はまだ初歩段階

産業銀行が最近、米国で発行した「グローバルボンド」は、ゴールドマンソックスやHSBCなどの外国系IB5社を通じて行われた。

輸出入銀行のある幹部関係者は、「海外IBは多様な『グローバルスポンサー』を知っており、発行した物量をすべて売りさばいてくれる」とし、「債権発行に失敗すれば、信用度が大きく下がるため、国内証券会社を通じて海外で債権を発行した例はない」と話す。ある国策銀行関係者は、「政府持分の売却においても、『失敗の可能性』のため、評判や信用度の高い外国系を選んだほうが安全だ」と語る。

●「選択し集中すべし」

成功の可能性が完全に遮断されているわけではない。韓国がベンチマーキングすべき成功した後発のランナーも相当にある。

オーストラリアのマッコリー銀行は1969年、英国商業銀行の子会社(HSA)として出発したが、従来のIBがそっぽを向いたインフラへの投資に特化し、同分野で世界トップに躍り出た。同社の資産は1997年末、61億豪州ドル(約5兆ウォン)で、06年末は1061億豪州ドル(約891兆ウォン)に急増した。

JPモルガンは、商業銀行のノウハウを活かして、企業毎週で、シンジケートローン(協調融資)に特化し、グローバルIBへと成長した。林錫正(イム・ソクジョン)JPモルガン代表は、「さまざまな金融手法においては、国内の各金融会社は先進IBとの格差を大幅に減らした」とし、「後発走者として、グローバルIBへと成長するためには、うまくできる分野を選んだうえで集中すべきだ」とアドバイスした。

実際、昨年、三星(サムスン)証券のフィラコリアのグローバルブランド買収や、産業銀行のLG電子ユーロボンドの5億ドル発行など、国内金融会社も少しずつ、IB分野での成果をあげている。

金範逷(キム・ボムジュン)韓国投資証券IB本部専務は、「韓国は世界11位の経済規模や、アジア2位の債券市場など、IBとして成功できる条件が整っている」とし、「国内市場で培ったよい成果は、グローバルIBへと跳躍できる足場だ」と強調した。



larosa@donga.com