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アフガン人質事件、韓国マスコミに残した課題

アフガン人質事件、韓国マスコミに残した課題

Posted September. 04, 2007 07:45,   

アフガニスタンの反政府組織タリバンによる韓国人拉致事件は、韓国のマスコミに少なからぬ課題を残した。23人の韓国人が拉致されるという前代未聞の事件が発生したにもかかわらず、本紙をはじめ、国内のマスコミ各社は現場に接近できないまま、相当な部分を外信にのみ依存するほかなかった。このため、外信の報道が事実であるか否かも確認できず、そのまま引用して報道するなど、ときにはタリバン武装勢力のマスコミ操作に翻弄されるケースも少なくなかった。

今回の拉致事件について、国内マスコミの報道の問題点に迫った。

▲誤報を生んだ取材の構造的限界〓政府は7月19日、韓国人が拉致されて以後、アフガン政府に韓国人に対するビザ発給の中止を要請したのに続き、8月1日にはアフガンを旅行禁止国に指定した。記者の現場への接近が封鎖されたため、国内のマスコミは拉致事件の報道を外信に依存するほかない状況に置かれた。特に、拉致事件発生直後、緊迫した現地の状況の中で、食い違っていた各種外信の報道は、時差による国内マスコミの締め切りの時間とあいまって、誤報となってしまうケースが相次いだ。韓国人人質8人の釈放説などが代表的な例だ。

このような問題点を改善するため、本紙など一部マスコミは自主的に検証された現地の通信員を雇用したり、現地の消息筋を通したりするなど、間接取材に乗り出した。しかし、彼らもタリバン内部の動向を完全に把握するには困難な点があった。もちろん、韓国の記者がアフガン入りしたとしても、実際に取材するのは簡単でなかったはずだ。

▲プロパガンダとマスコミの報道〓今回の事件はアフガン政府とタリバンの内戦が繰り広げられている状況の中で発生した。このため、マスコミも双方のプロパガンダ(宣伝)戦争から自由でいられなかった。アフガン政府はタリバンの不道徳性と残忍さを浮き彫りにし、タリバンはアフガン政府の無能さの宣伝に尽力した。事件発生初期、アフガン政府の対外誇示用の「交渉時限延長説」と、対タリバン威嚇用の「人質救出作戦説」の誤報はここに端を発したものだった。

タリバン側は、内外マスコミの人質へのインタビュー競争を煽り立てた。米CBS報道が人質の肉声を初公開した跡、内外のマスコミを通じて人質の声が相次いで流された。しかし、拉致された人々は釈放された後、「タリバンに言われた通りに話した」と明らかにした。結果的にタリバンの心理戦にまんまと巻き込まれたわけだ。

▲今後のマスコミの取り組みは?〓今回の事件は韓国のマスコミに少なからぬ経験と教訓の機会を提供した。まず、自国民の人質事件に対する外国のマスコミの報道姿勢は参考に値する。今回、ドイツ人もタリバンに拉致される事件が発生したが、ドイツのマスコミは一部確認された事実のほかにはほとんど報道しなかった。このような慎重な報道と事実確認のための努力は、速報競争に駆り立てられる韓国のマスコミがじっくり考えなければならない点だ。

テロリストのプロパガンダに振り回されないための報道準則作りも急がれる。AP通信、BBC放送などは「人質に接近する代価を拉致犯罪者に支払ってはいけない」「拉致犯罪者の道具として利用される、あるいは人質を危険にさらす恐れのある報道は自制する」という内部指針を持っている。このような基準は、いまやよその国の話ではないのが実状だ。



spear@donga.com