西洋のサーカス行列の先頭には、楽隊を乗せた幌馬車である「バンドワゴン(Bandwagon)があった。雰囲気を盛り上げ、人々を呼び集めるためだ。米国の西部開拓時代には、騒々しいバンドワゴンの音楽を聞いて集まった人々の間で、どこどこで金鉱が発見されたといううわさが流れると、人々は先を争って金鉱に殺到したものだ。「牛に引かれて善光寺(ぜんこうじ)参り」のような集団心理が働き、人々が特定の時流に流される現象を「バンドワゴン効果」または、便乗効果という。韓国の農楽隊が心を弾ませる音楽を演奏しながらパフォーマンスを行い、人々を集めるのも「バンドワゴン効果」を狙ったものだ。
◆バンドワゴン効果という言葉を初めて使ったのは、米国の経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインだ。氏は1950年、消費者需要理論に関する論文で、特定商品の需要に他者の需要が影響を与えることをバンドワゴン効果と呼んだ。人より目立ちたい人々の心理から高額の商品ほど需要が高い傾向をヴェブレン効果、希少性が高いほど消費者を刺激する現象をスノッブ効果と呼んだのも同氏だ。企業が有名芸能人やスポーツ選手をCMのモデルに起用するのも、バンドワゴン効果を使った戦略だ。
◆スポーツの世界では、バンドワゴン・スポーツファンという言葉がある。特別な縁故もないプロチームなのに、連勝を続けているという理由で応援したり、優勝チームを応援すれば、他人から好かれると思って強いチームを応援する人々のことを言う。政治分野では、世論調査で優位に立っている候補に支持者が集まる現象を「世論調査のバンドワゴン効果」と呼ぶ。バンドワゴン効果の罠は、実体がわからないまま時流に流された結果、集団的な過ちを犯しかねないことだ。
◆1日に公開された大統領候補世論調査によると、李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長の支持率が圧倒的に高かった。有権者たちがインターネットなどを通じてリアルタイムで情報を得、共有していることから、バンドワゴン効果もあるのではないか、という分析も出ている。候補や政策への検証が十分に行われていないだけに、一理ある分析だ。バンドワゴン効果が実際に働いているとしたら、李前市長へのバンドワゴン効果がさらに増幅されるか、それとも別の候補者が新たなバンドワゴン効果を作り出すか、現時点では鬼も知らないことだ。
権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com






