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[オピニオン]テクノ・ドクター

Posted September. 07, 2006 06:48,   

チョン・プンイル(63)博士は、韓国電子力研究所に36年間勤めた後、2年前に退職した。韓国型軽水炉事業の原子炉設計専門家のチョン氏は、国際原子力機関(IAEA)に派遣されて10年間、原電局長を務めるほど同分野の権威者だ。同氏は来週から原電設計諮問業を行うベンチャー企業の「GNEC技術事務所」に出勤する夢に膨らんでいる。政府出資研究所を退職した高級科学技術人材と技術が必要な中小企業をマッチングする「テクノ・ドクター」事業のおかげだ。

◆科学技術部が7日、「テクノ・ドクター」事業の広告を出すと、「人が要る」と申請した中小企業は282社、「一生をかけて積み重ねてきたノウハウを活用する機会を与えてほしい」と申請した退職科学者は129人だった。双方が「お見合い」をした結果、79人が新しい職場を得ることになった。給与は月250万ウォン。政府が200万ウォン、企業が50万ウォンをそれぞれ負担する。再び出社できるようになったからと言って、油断してはいけない。6ヵ月後、就業者の実績を評価して延長するかどうかを決定する。一人が政府支援金をもらえる期間も最大3年だ。国民の税金がかかる事業なので、厳しい管理は欠かせない。

◆通貨危機の時リストラされた大宇(テウ)自動車の労働者の一人は、復職後、「うるさいところへ行く時は、携帯電話を『振動』モードにしておいて、靴下の中に入れておいた」と話した。「もしかして、かかってくるかも知れない『復職しろ』という電話を逃すことか不安だったため」と話した。復職がどれほど切実だったか、退職後の再就業がどれほど厳しかったか推し量れる、胸が痛くなるエピソードだ。

◆韓国の労働市場の一番大きな問題の一つは、雇用柔軟性がないということだ。再雇用市場が脆弱であるため、一度退職したら再就業の機会がほとんどない。だから、勤労者は「解雇はすなわち死」と考える。解雇が難しいため、企業は雇用そのものを憚る。老人の仕事先の問題も再雇用市場がないため、さらに悪化している。政府の労働政策も「理念と掛け声」にこだわるよりは、彼らが再び働けるように焦点が当てられるべきだ。新しい職場を得た人たちが責任意識と熱情を持って、もう一度熱い汗を流せることを祈る。

許承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com