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[オピニオン]正社員化のジレンマ

Posted August. 10, 2006 05:29,   

「最初の2年間の試用期間には自由に解雇できるようにする。とりあえず採用し、仕事をさせてから判断せよ」。今年1月、フランス政府が発表した労働法改正案の初期雇用契約(CPE)の内容である。法案の発表直後から大学生や労働界が反発し、3月には1日100万人以上がデモに参加するなどの騒ぎとなった。憲法裁判でCPEに合憲決定が下されたが、フランス政府は激しい抵抗に屈し、改正案を撤回してしまった。

◆フランス政府がこのような法を施行しようとしたのは、失業問題があまりにも深刻だからだ。フランス人はいったん働き口さえ見つければ「天国の住人」になる。所定労働時間は週35時間にすぎず、終身雇用も事実上保証される上、退職後も手厚い年金を受け取ることができる。しかし、企業からすれば、解雇はほぼ不可能であり、雇用に伴う高い社会保障税を課せられるため、採用そのものを嫌がっている。10%を超える失業率はその結果だ。特に、新規採用の対象となる若者の失業率は23%に達する。

◆韓国の政府・与党は、公共部門の非正規社員のうち、5万4000人あまりを正社員化することを決定した。早い話が解雇するな、ということだ。97年の通貨危機以来急増した非正規社員が味わったはずの不安や差別の苦しみを想像すれば、共感もできる。しかし、いい意図が必ずしもいい結果を生むわけではない。そうなった場合、「雇用の総量」が減少するというのが経済学が教える厳しい真理である。正社員になった人はいろんな恩恵を享受するが、契約やパートの仕事さえ見つからなかった人々の労働機会はさらに減少する可能性が高い。フランスの例に見られるように。

◆雇用を増やすには、解雇と再就職を同時にしやすくする必要がある。それは労働市場の柔軟化、公共部門の効率性の見直しなど、政府が叫んできた経済革新の方向とも合致する。さらに大きな問題は、政府が正社員化方針を発表するにあたって「政府が模範を示している」と強調したことだ。民間企業にも同様の措置を取るように圧力をかけている形だが、やみくもに政府の方針を押し付ければ企業の競争力低下、投資および雇用の能力低下、経済成長の鈍化、社会的弱者の苦痛増大につながるだけだ。

許承虎(ホ・スンホ)論説委員(tigera@donga.com)