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[オピニオン]社会協約

Posted June. 21, 2006 03:05,   

昨日、韓明淑(ハン・ミョンスク)首相と各界の代表が低出産と高齢化の問題を解決するための社会協約を締結した。1月から各界の代表32人が頭を寄せ合って協議を重ねてきた結果だという。実践計画と財源確保の方法まで入っているが、「各主体の誠実な移行の誓い」だけでは、死文化の懸念を完全に解消し難い。参加した「代表」の「代表性」の問題も付きまとう。まさか、政府がこの文件を突き出して、「低出産問題を解決するための『増税』に合意した」と主張することはないだろう。

◆協約の効用価値を信じる国民は多くない。労使政が04年初め、1ヵ月間10回の会議の末作った「雇用を巡る社会協約」がうやむやになった経験もある。協約には、「雇用が福祉の基本であり、中核的な要件」など、良い言葉は全部含まれている。なのに、政府は協約実践に無能だったか無関心で一貫したまま、「両極化」ばかりを口にしてきた。昨年初め、労使政を脱退した全国民主労働組合総連盟(民労総)は、局面の度にゼネストを叫んできた。ともするとケンカ腰になる組織が、法的効力もない社会公約を結んだことからしてコメディーだ。

◆外国では1980年代以後、社会協約が増えた。政権、労働者団体、財界が各自に動いては重要な懸案を解決できないまま、けんかに明け暮れして、みんなが損をするという認識からだった。それでも成功よりは失敗の事例が多い。協約締結後、状況が変わったため、変心したからだ。それも実践してこそ効果がある。ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル大統領も経済社会発展委員会(CDES)が導き出した「新たな社会協約」の報告書を議会で最終決定してもらって、国政に反映した。アイルランドは3年ごとに戦略報告書をまとめて、実践し実績を点検する。

◆社会協約は合意も難しいが実践はもっと難しい。韓国政府は短い時間に合意をよくも誘導する。笑みを浮かべて写真を撮って、合意文は額縁の中に入れておくが、果たしてその分の実践意志があるかどうかは疑問だ。透明社会協約、統一社会協約など協約が多くなるほど価値ばかり落ちるのではないだろうか。これよりは政治家と公職者が就任宣誓でもよく守ってほしいものだ。

洪権憙(ホン・グォンヒ)論説委員 konihong@donga.com