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韓国、喜ぶにはまだ早い

Posted June. 15, 2006 03:48,   

「今日が一番幸せな日になるのが怖い」

韓国がトーゴに劇的な逆転勝ちを収めても、大韓サッカー協会のある幹部は、「韓国が海外で初勝利を収めた日だけに意味深い」と言いながらも、「この後2敗を喫するのではないかと心配だ」と言った。

その通りだ。韓国がシャンペンの栓を抜くには早すぎる。まだ1次リーグ突破が確定したわけではない。喜びの中にあっても「まだ心細い」と心配気に見守る人も多い。

韓国は19日にフランスと、24日にスイスと相次いで対戦する。いずれも強敵だ。フランスとスイスは13日、0−0で引き分けた。今のところは韓国がG組首位だ。

瀬戸際に追い込まれたフランスのドメネク監督は、「韓国戦は総力で取り組む」と明言した。アンリ、トレゼゲなど世界トップクラスのFWとスーパースター、ジダンを従えたフランスが韓国を必ず負かすと宣言したのだ。

1勝に飢えているのはスイスも同様。スイスは第2戦のトーゴ戦で必ず勝利を収め、最終戦の韓国戦に運命をかけようとしている。韓国としては全力投球に出るフランスとスイスを相手にしなければならない。

韓国はトーゴに逆転勝ちを収めたものの、内容はよくなかった。とくに前半の試合内容が悪かった。

2002年韓日W杯でフース・ヒディンク監督を補佐したチェ・ジンハン元韓国代表コーチは、「選手たちはあまりにも安定的に試合を運ぼうとしている。思い切った突破とクリエイティブな戦術が見えてこなかった」と前半を厳しく評価した。

これは今月4日にあったガーナとの評価試合でも露呈した問題だ。当時、試合を見守っていた黄善洪(ファン・ソンホン)SBS解説委員(全南ドラゴンズコーチ)は、「FWたちの動きが少なくて空間が作れない。特にサイドアタッカーたちが、自分の位置を固守し過ぎてチーム全体の攻撃パターンがあまりにも単純化した」と指摘している。

一方、韓国はトーゴ戦で期待したほどのプレスをかけることができなかった。トーゴの個人技を抑え込むために網状のプレス戦術を準備していたが、結局、相手のスピードをつぶすことができず、サイド突破を許して先制された。

残る対戦相手のフランスとスイスが中盤で相当のプレスを駆使したことを考えると、懸念される部分だ。

韓国のプレッシングが失踪したのは現地の天候状況にも原因がある。試合終了後、ディック・アドフォカート韓国監督は「とても暑くて選手たちが苦労した」と漏らした。そのうえ、競技場の屋根を閉じて試合が行われ、高い湿気でサウナの中のような環境で走り回ったため韓国特有のプレスが出なかった。韓国としては、多様な攻撃パターンを用いてさらにプレッシングを強化しなければならない。しかし、現地の試合条件などが必ずしも有利でないだけに、より気を引き締めなければならない状況だ。

フランスは、スイス戦でアンリが鋭い競技能力を見せたものの、必ずしも完璧ではないことを露呈した。フランスは、スイスの体力に支えられた強烈なプレス守備を突破することができなかった。韓国はサウナのような競技場で激戦を行うために体力を消耗したが、フランスも粘り強く走ったスイスと、すさまじい体力戦をたたかった。

韓国としては、フランス戦でMFジダンを封鎖するために中盤での主導権争いをいっそう激しく繰り広げるべきだ。そのためには、またも相当の消耗戦を覚悟しなければならない。韓国MF陣のコンディションが万全でないのが気がかりだ。しかし韓国は、期待した初勝利を上げたことでチームの雰囲気が勢いに乗っているのが強みだ。

韓国特有の精神力と気迫で闘魂を発揮すれば、フランスを越えてトーナメント進出を早期に決定付けることも可能だ。



bluesky@donga.com