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[オピニオン]肥満との戦争

Posted November. 22, 2005 08:43,   

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人の「肉づき」から見る時代相の変化はおもしろい。ルネサンス期の女性たちは豊満な肉づきで健康美とセクシーさを誇った。当時の西洋名画に出てくるヌードがすべてそうだ。わが国の大韓帝国当事、カメラにおさまった民衆の顔はもっぱら、ほっそりやせていて、くぼんだ顔をしている。食料不足にあえぐ、今日の北朝鮮の人々の顔と変わらない。「よく食べて死んだ幽霊は顔色もよい」と言うことわざも、そんなみじめな飢餓と絶望の表現だろう。

◆今日は、逆に過体重と肥満を心配する時代だ。飢餓にあえぎ、「食う」問題に悩みながら走ってきて、いつの間にか肥満を心配する国になった。もっと劇的な逆転もある。米国では、肥満の問題はほとんど底所得層に移ってしまったそうだ。貧しい親が、金と時間がないため放置する間、子供たちは安いジャンクフード、ファーストフードにのめりこむ。カロリーばかり高い食べ物は、貧民街の子供たちを容赦なく太らせる。「飢えた」階層に肥満が広がる逆説を生んだのだ。

◆政府は、官民合同の国家肥満管理委員会を設け、肥満治療薬に健康保険を適用する方向に向かうとの報道だ。子供たちが寝る前の時間帯である夜9時以前のファーストフード広告を禁止し、すべての食品にカロリーと脂肪含有量を表記する案も検討されるという。肥満との戦争に政府も乗り出したのだ。睡眠無呼吸症、脳中風、糖尿病などのある肥満の場合、保険の恩恵を与えることは、むしろ医療財政を節約する方法になるという主張が、医者たちの間で提起されてきた。

◆21世紀の有望事業には、必ず「健康」「美容」分野が挙げられる。暮らしの質を考え、ヘルシー志向が追求されれば、健康で美しい身体が最高となるということだ。肥満を乗り越えることは、健康と美容の一挙両得だ。肥満はあきらかに「疾病」だ。成人病の前段階である代謝症侯群の原因になり、万病を引き起こす公共の敵となって久しい。政府の積極策をとめる気はない。ただし、肥満管理委や予算確保などを理由に「政府の肥満」が加速化するものであっては困る。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員 skim@donga.com