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無名コメディアンの父親に「ファン」をプレゼント

無名コメディアンの父親に「ファン」をプレゼント

Posted October. 15, 2005 07:52,   

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父親が一夜にして有名人になった。

これまでファンがいなかった無名コメディアンの父親のために、誕生日のプレゼントとして、父親を知っている人たちからのメッセージが書き込まれたミニホームページの芳名録を作ろうと、ネットユーザーに参加を呼びかけてきた韓宰星(ハン・ジェソン)さん(27)。

「100人が目標」という息子の願いは、まさに夢のようにかなえられた。父親の韓相振(ハン・サンジン)さん(45)の誕生日にあたる14日午後までに、芳名録に書き込みをした人は8000人あまり、ミニホームページへのアクセスは10万7000人あまりにのぼる。

13日夜、ソウル・汝矣島(ヨイド)のKBS別館からほど近い喫茶店で、韓さん親子に会った。

現在、MBC放送のシチュエーション・コメディ『アンニョン、フランチェスカ』に、警察や医師、刑事などの端役で出演している父親は、ピンク色のネクタイにジーンズ姿で、父親というより、兄のようだった。

今年、東亜(トンア)芸術大学映像音楽科を卒業した宰星さんは、現在は大学の編入学試験に向けて準備している。24歳の妹を含む3人家族は、ソウル・江西区(カンソグ)に住む。紆余曲折を経てきた家族にしては、親子の表情は明るかった。

「今でも夢みたいで実感がない。永登浦(ヨンドゥンポ)刑務所で慰問公演をしていたら、しきりに電話がかかってくるのよ。僕たちのことが話題になっているからインタビューを受けてもらえないかって。公演後、ネット・カフェで初めて知った。最初は家族の暗い話を知られた気がしておまえに文句を言ったんだよな」(父)

「ごめんなさい。お父さんに黙ってサプライズ・プレゼントをしたかったんだ」(息子)

しばらく表情を固くしていた父親は、すぐに明るい顔を取り戻し、「でもな、お前からのプレゼントが世界で一番素敵だった」と言って笑った。この家族の家訓は「前向きな考え、前向きな行動」だという。

「オヤジが無名なのがそんなに気になったのか」と聞かれて息子は笑顔で答えた。「オヤジに似て、僕もよく人を笑わせるだろう。子供のときから『大きくなったらコメディアンになったらいい』とよく言われた。オヤジが有名だったら、みんなに『父親ゆずりでおもしろいんだね』と言われたはずなのに、オヤジを知らないから・・・。そのときは悲しかった」(笑)

父親は、息子が小学生のとき、自分のコメディを覚えて先生や同級生の前で真似ていたことを思い出した。

「あれは確か『3兄弟のバカ』だったよな。いつもオヤジのことを恥ずかしく思わず、ありのまま受け入れてくれてありがとう」(父)

「子供のときはオヤジが苦労していることを知りませんでした。米国に移民したけど、家族を残したまま帰国するしかなかったオヤジが、帰る家がなく車で寝泊りしながら酒で寂しさをまぎらしていたことを考えると、今でも胸が痛みます」(息子)

突然、店内にいたある女性が「お誕生日おめでとうございます」と韓相振さんに花束を手渡し、またもや親子は嬉しくなった。

「亡くなった母さんに、息子のおかげで有名になったと自慢したい。このチャンスが無駄にならないように、なおさら気を引き締めなくちゃ。父さん、本当にがんばって演技するからな」(父)

「オヤジ、宝くじに当たったりすると、欲が出て人生をだいなしにすることもあるんだって。でも僕は、すべてのことに感謝してる。2002年サッカーW杯が幕を閉じたら、次のドイツW杯が来るように、僕らも明日に備えなくちゃ」(息子)



zozo@donga.com