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[オピニオン]真の政治家

Posted April. 17, 2005 23:12,   

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ソクラテスは人気政治家への批判でアテネ市民を戸惑わせた。彼はマラトンの戦いの英雄、ミルティアデス、アテネの海上制覇を主導したテミストクレス、そしてペルシア戦争の勝利を燦爛たる文明の発展につなげたペリクレスに対して「嘘の政治家」と厳しく批判した。彼らのうち、ペリクレスはアテネの優越を誇示するため、立派な神殿を建てたり、大規模な公共事業を行ったりすることでアテネ市民の欲求を満たし、市民からの尊敬を一身に受けていた人物だ。

◆なぜ彼らは批判の的になったのか。ソクラテスによると、彼らはアテネ帝国主義の立役者だという。そもそも巨大な帝国も人の気持ちからはじまるものだ。彼ら政治家は戦争を政治の本質ととらえ、市民に「帝国主義的な衝動」の気持ちを呼び起こした。節度の徳が失われると、解消できない渇きのような利己的欲望が国中を覆う。この状況では政治家の一言で戦争が始まり、一つの戦争は別の戦争の火種となる。

◆ソクラテスは自分のことを数少ない「真の政治家」の一人と称した。これもアテネ市民の嘲笑を買った。ソクラテスは政治を「霊魂を慣れさせる技術(soul-craft)」といった。真の政治家は、仲間の市民の霊魂に節度や正義をもたらす人だということだ。ソクラテスが一生「汝自身を知れ」という信託の意味を強調したのは、自己反省と節度の重要性を知ってもらうためだった。欲望の節度こそ平和を実現する唯一の方法だ。

◆日本の右翼政治家の言動が大きな波紋をもたらしている。彼らは力の優位を確保するために、「帝国主義的な衝動」を呼び起こした。彼らの試みが反日デモとかみ合うことで相乗効果を生み出すと、東アジアの平和と秩序は揺れることになる。状況をわきまえていない政治家の扇動は、悲劇や苦痛になって国民に回ってくる。人の気持ちに節度を与える政治家は今も昔も珍しい。

柳洪林(ユ・ホンリム)客員論説委員(ソウル大学政治学教授)honglim@snu.ac.kr